2014-01-01から1年間の記事一覧

穴があいた靴下

「靴下の穴を見つめて日向ぼこ」牧童 硝子ごしの日だまりの中で足を投げ出して座っていた。ふと見ると靴下の指先に小さな穴があいていた。さらに大きく広げ、親指を出してみた。可愛いなと60歳を過ぎた僕が微笑んだ。 靴下に穴があくと、穴があいていない…

別れても

091:覧 (ーー;)やっと上まで二人で来たが すぐに落ちてく観覧車 092:勝手 (ーー;)自分勝手でわがままばかり まるで子供ね可愛くて 093:印 (ーー;)印つけたい私のものと どこにどうしてつけようか 094:雇 (ーー;)雇ってちょうだいお金はいらぬ 妻と言う名の仕事なら 0…

浮気癖

086:魅 (ーー;)ジャズの魅惑に心も揺れて グラス傾け鳴る氷 087:故意 (ーー;)故意(恋)で抱かれたわけではないが いつもよりかは酔いたくて 088:七 (ーー;)あっていいわよ七癖ぐらい だけど許せぬ浮気癖 089:煽 (ーー;)風に煽られ寄り添う二人 いっそこのまま倒れた…

勘を鍛える

勘を鍛える 「もう一杯飲むか飲まぬか寒・勘・燗」牧童 勘がいい奴と悪い奴がいる。勘がいいか悪いかによって人生変わってしまうはずだ。 残念ながら僕は勘がすこぶる悪い。例えば初デートの時、注文した料理をひつこく勧める。どうも様子が変だから問いかけると…

流されちまえよ

「汚さずにとっとと失せろ冬の糞」牧童 ここ数日、あちこちでトイレ話を楽しんでいる。トイレや便の話は面白い。 汚すつもりはないが、汚れてしまうトイレ。 いつまでも、こそこそと便器にしがみついている糞を見ていると、我が分身であっても非常にむかつく…

泣き崩れ

081:網 (ーー;)網を投げれば雑魚ならとれる 網じゃすくえぬ好きな人 082:チェック (ーー;)チェックアウトの時間が迫る 抱いておくれよもう一度 083:射 (ーー;)射程距離よね貴方とわたし 先に撃つのはどちらやら 084:皇 (ーー;)皇室みたいに手を振り別れ そっと振り向…

完走

今年は雨をテーマにした。題詠のおかげで様々な雨のシーンを思い浮かべることができ、楽しく過ごすことがでた。題詠だから、自分でも不満足なものが多くなってしまうが、この中から数首でも自分が好きになれる短歌ができたらいいなと思い、毎年取り組んでい…

女神の豪雨

096:翻 手のひらを翻してはほくそ笑む 自由の奪う女神の豪雨 097:陽 一粒の雨が陽気を奪い取り 言葉ひとつで笑顔が消えた 098:吉 公園の雨を逃れて吉祥寺 かわりゆく街かわらぬ自分 099:観 老いてなお諦観できぬ雨の街 濡れた衣服と汚れた髪で 100:最後 とき…

濡れたコートで

091:覧 観覧車降りれば雨が降り出して 二人見上げる数分前を 092:勝手 身勝手に生きてきました儘ならぬ 雨に打たれて濡れたコートで 093:印 掻き込んだ印度カレーの後味を 洗い流そう冷たい雨で 094:雇 不確かな雇用のままに年を越す 骨折れた傘雑踏の雨 095…

雨と誹謗と

086:魅 雨上がり満月映す水たまり 君が覗けば魑魅魍魎 087:故意 あれやこれ未必の故意をあの人に 殺したくなる雨止む前に 088:七 七夕のとき雨だった今日も雨 送信しても星に届かず 089:煽 見上げれば僕の心を煽る雨 イルミネーション今年が終る 090:布 身体…

見つめあうまま

081:網 雨上がり網戸に残る水滴の ように貴女にしがみつきたい 082:チェック 突然の豪雨に濡れてチェックイン 服を脱げずに見つめあうまま 083:射 射る雨に刻々と増す歯の痛み 君といるのにキスもできずに 084:皇 傘ひとつ二人の肩は雨に濡れ 無言のままに皇…

雨の日だから

076:ほのか 雨にとけ風に包まれ君の髪 微笑むたびにほのかにかおる 077:聡 聡い子や愚かな子等や俯く子 色さまざまに雨の通学 078:棚 棚上げにされたあの日の問題を 思い出させて降り出す雨が 079:絶対 絶対に別れないよと嘘をつく 明日は晴れる雨の日だから…

まだティタイム

071:側 北側の窓の埃を落とすよに 吹き付ける雨まだティタイム 072:銘 墓碑銘を浮かび上がらせ雨が降る 傘を近づけ読んだふりして 073:谷 渓谷の闇を早める夕時雨 紅葉も色を失いながら 074:焼 雨上がりあの夕焼けを見たときの 心は君と結ばれていた 075:盆 …

つぶやいてみる

066:浸 首すじに雨侵入の衝撃と 雨浸水の不快な靴と 067:手帳 空白の手帳見つめて何もなく 明日は雨だと予報を記す 068:沼 旅人が眺める沼は打ちつづく 雨に動ぜず静寂のまま 069:排 晴れの日は排出しない泣き言を 雨に濡らしてつぶやいてみる 070:しっとり …

惚れはせぬ

076:ほのか (ーー;)抱いてちょうだい貴方が好きな 香りほのかに付けたから 077:聡 (ーー;)聡い女じゃないけど私 馬鹿な男にゃ惚れはせぬ 078:棚 (ーー;)お客来てよね貴方はもっと 来てと拝んだ縁起棚 079:絶対 (ーー;)絶対いやだわ貧乏暮らし だけどいいわよ貴方とは…

幸せのテールランプ

「幸せを纏わぬままに冬支度」牧童 家の前の夜道に停められていた小型車に初老の男が乗込もうとしていた。突然、二階の窓が開き、二人の幼子の大きな声が響き渡った。 おじいちゃん おじいちゃん ありがとう いつもありがとう おじいちゃん おじいちゃん ま…

かなわずに

071:側 (ーー;)側にいてよね離れずずっと こんな願いもかなわずに 072:銘 (ーー;)銘記してよね あの日のことは わたしゃ名器じゃないけれど 073:谷 (ーー;)胸の谷間に近づく顔を そっと引き寄せ ぎゅっと抱く 074:焼 (ーー;)時がきたのね お肉が焼けた そんな匂いが…

名文より紀文の秋

「酒飲まず寝るにはおしい秋の月」牧童 四十年以上、毎晩、酒を飲み続けてきた。大酒を飲み、ろくでもないことを懲りもせずに繰り返してきた。 酒が飲めない家系に生まれ育った僕は、もともとはすぐに酔っ払ってしまう体質なのだが、無理やり飲み続けること…

燃えない秋

「食欲の秋も燃えないゴミの山」 牧童 最近、コンビニやスーパーの弁当で夕飯を済ますことが多くなってきた。それを食いながら缶ビールや缶チュウハイを飲んでいる。 たちどころに燃えないゴミが山となり、その中で暮らしている。 生ゴミのほうが少ない。 こ…

それぞれの雨

061:倉 閉ざれた倉庫は人を受け入れず 土砂降りの音さらに激しく 062:ショー 曇りぞら雨のち晴れと変わりゆく 君が演じるショーをながめる 063:院 雨やまぬままに寺院を巡り行く 寺それぞれにそれぞれの雨 064:妖 雨ふれば妖しさ増してネオン街 行き交う傘も…

会えぬ日か

066:浸 (ーー;)好きになったわ貴方のことが お湯に肩まで浸るよに 067:手帳 (ーー;)手帳ながめて溜息ひとつ 今日も貴方と会えぬ日か 068:沼 (ーー;)会えば哀しや憎しみばかり 積もる心は深い沼 069:排 (ーー;)拝むふりして排泄ばかり わたしゃ便器じゃあるまいし 070…

捨てられて

061:倉 (ーー;)勝負下着も御倉になった 舞台初日にすてられて 062:ショー (ーー;)ふたり演ずる裸のショーは 誰も見る人いないけど 063:院 (ーー;)貴方だけだよ拝んでおくれ やっと開いた 奥の院 064:妖 (ーー;)色気たっぷり それとも不気味 妖艶 妖怪 紙一重 065:砲 …

雨音を聴く

056:余 空蝉の余命を告げる雨はやみ 何も残さず静かな夜明け 057:県 君が住む県は明日も明後日も 雨が降るらし だからメールを 058:惨 逃げもせず振り向きもせぬ野良猫を 突き刺すように雨惨憺と 059:畑 まだ続く畑ちがいの話など どうでもよくて雨音を聴く …

恋をまた

056:余 (ーー;)余韻のこして貴方が消えりゃ 余韻すぐ消し母の顔 057:県 (ーー;)貴方住んでるお家が憎い 越すに越せない県境 058:惨 (ーー;)惨めすぎるわ貴方といても ひとりぼっちでいるような 059:畑 (ーー;)何も育たぬ畑に愛を 注ぎ耕す憎いひと 060:懲 (ーー;)恋に…

君が泣く場所

「秋雨や労働意欲湧かぬまま」 牧童 雨がまだ降り続いていた。 雨の中、虫が鳴いている。 晴天の時ほどの大合唱ではないが、虫が鳴いていた。 「葉の下は雨に濡れぬか秋の虫」 牧童 雨の中でも鳴いている虫は、濡れない場所にいるのかな。それとも雨に濡れな…

叫びを消して

051:たいせつ たいせつな今日も一日雨の中 思い出づくり水に流して 052:戒 開け放ち吹き込む雨に濡れるまま 自戒と自慰を忘れ去るまで 053:藍 雨風に藍を濁らせ狂う海 助け求めた叫びを消して 054:照 徹夜して照る照る坊主作っても 僕の本音は雨よ降れ降れ 0…

身をゆだね

051:たいせつ (ーー;)辛い想いを つのらせながら だけど貴方を たいせつに 052:戒 (ーー;)朝と夕には戒めるのに 昼の誘いに身をゆだね 053:藍 (ーー;)愛に染まった 心もやがて 藍を重ねて 深き闇 054:照 (ーー;)照らす想いに照らされながら 照れてしまうわ眩しくて 0…

食いねぇ、食いねぇ、肉食いねぇ

「欲あれど老いてほそぼそ秋の食」 牧童 先日、ふらりと入った大衆酒場でひとりで飲んでいた。 店では、しゃぶしゃぶ食べ放題キャンペーンをやっていて、さらに追加料金を払えば飲み放題にもなる。一人でもいいそうで、僕なら充分にもとはとれる金額だ。 で…

闇の寝床で

046:賛 賛美歌の流るる庭に溜まる雨 まだ降りやまず終らぬ懺悔 047:持 傘を持つ手に重圧の雨量増す 逃れたいのに手放せぬまま 048:センター センターの喧騒逃れ飛び出せば 雷雨で君を置き去りにして 049:岬 海色も濁りを増して別れ時 岬雨降る夏の終りに 050…

さめる夢

046:賛 (ーー;)誰も賛成などしてくれぬ だけど行きましょ惚れたから 047:持 (ーー;)重た過ぎます夕暮れどきは 私ばかりが持てなくて 048:センター (ーー;)センターばかりが主役じゃないわ ノリがなければマケはせぬ 049:岬 (ーー;)あなた追いかけ岬の果てに 見えてき…