君が泣く場所

「秋雨や労働意欲湧かぬまま」
牧童

雨がまだ降り続いていた。

雨の中、虫が鳴いている。
晴天の時ほどの大合唱ではないが、虫が鳴いていた。

「葉の下は雨に濡れぬか秋の虫」
牧童

雨の中でも鳴いている虫は、濡れない場所にいるのかな。それとも雨に濡れながらも、寂しさに耐え切れずに鳴き続けているのかな。そうなら僕も応援するよ。
自分一人だけ濡れない場所を確保して、自慢気にナンパしているんだったら嫌だな。

僕は狭い軒先で泣き続けているくらいなら、雨でびしょ濡れになりながら笑いたい。
君と二人で。