2016-01-01から1年間の記事一覧

2015年題詠短歌100

001:呼 亡き今は枯葉の風も追うように われ呼ぶ母の声に聴こえて 002:急 いつか来る死とは思えど急だった そんな気がする風になる母 003:要 人生の要の時はいつだって 母がいたはず微風の中に 004:栄 栄え失せ焼夷の風を逃げまどい 平和に飢えた母の青春 005…

あんな声

096:賢 (ーー;)賢すぎたら惚れたりせぬが 阿保なだけでは捨てられる 097:騙 (ーー;)ずっとこのまま騙しておくれ 知ったところで何になる 098:独 (ーー;)望みゃしないわ独占なんて だって私もいろいろと 099:聴 (ーー;)となり部屋から聴こえてくるわ 出してみたいわあ…

孤独みたいに

096:賢 死ぬ母は良妻賢母だったのか 風に聞いても笑われただけ 097:騙 臨終の母を優しく包む風 騙されたのか騙したがわか 098:独 死ぬときは母も一人で風哀し 慕われながら孤独みたいに 099:聴 風に聴く死後の世界の母は今 何を想いて何を哀しむ 100:願 風の…

惚れはせぬ

091:略 (ーー;)前略後略省略なんて そんな男にゃ惚れはせぬ 092:徴 (ーー;)別れ近づく徴候かしら 立ってくれない茶柱が 093:わざわざ (ーー;)そんなわざわざ言わなくたって 触れた素肌でわかること 094:腹 (ーー;)お腹ばかりが目立ってきたが 太っただけよね老いただ…

死神の風

091:略 侵略の焼土の風に涙した 母に病魔がまた攻略を 092:徴 風雲よ漸く母は徴兵で 惨殺された伯父のもとへと 093:わざわざ わざわざとニヤリ顔出しまた消える 母の枕辺死神の風 094:腹 母の死期僕を宿した腹だけが 風船みたく膨らんでいた 095:申 最後まで…

好きだから

086:珠 (ーー;)珠算なんかじゃ計れぬ価値を 玉がふたつではじき出す 087:当 (ーー;)当り前でしょいけないことも やってちょうだい好きだから 088:炭 (ーー;)柔いものより硬くて黒きゃ 細くてもいい備長炭 089:マーク (ーー;)付けてみたいし付けられたいが やめておき…

母に寄り添う

086:珠 風誘う珠数玉ひろい手づくりの 母の思い出今日は葬式 087:当 訳もなく当たり散らした反抗期 風にも涙母なき今は 088:炭 樫焼けば備長炭に母焼けば 風に舞う骨もろく崩れて 089:マーク 病床の風が付けたかデスマーク 窶れた母の腕にポツリと 090:山 山…

憎まれて

081:付 (ーー;)話したくない過去あるけれど 付いていきましょはなさずに 082:佳 (ーー;)佳作くらいの程よい方と 佳作くらいの良き日々を 083:憎 (ーー;)憎いお方に恋したからにゃ 憎い人から憎まれて 084:錦 (ーー;)錦よりかはお前の肌と 言ったあの人いま何処 085:…

幼き日々へ

081:付 付きまとう死神の風臭気増し 母微笑めどまた苦しげに 082:佳 佳麗なる母の面影いまはなく 風にかわいた涙やつれて 083:憎 母憎む思いは確かあったけど 風よ帰ろう幼き日々へ 084:錦 母望む錦飾れず風なびく 喪服姿で母の遺影を 085:化石 積年の汚れを…

ダメみたい

076:舎 (ーー;)祇園精舎を聴いても今は 二人の恋は永久のもの 077:等 (ーー;)一等なんかは取れないけれど 二号くらいはすぐなれる 078:ソース (ーー;)あなた好みの市販のソース 真似てみたけどダメみたい 079:筆 (ーー;)ちゃんと洗おね下ろした筆は ほっておいたらゴ…

損した気分

076:舎 病舎には快適な風ながれても 横たう母に死の臭いして 077:等 死も風も平等なのに母の死は 自分ひとりが損した気分 078:ソース 母偲び名店のカツ買い求め ソースたっぷりかけても哀し 079:筆 達筆な母の最後のメモ帳は 風に乱れたようで読めない 080:…

こころにも

071:粉 (ーー;)シミが増えたわ気分も暗い たまにゃ白粉こころにも 072:諸 (ーー;)諸説紛々あれどもやはり わたしゃ大きいほうがいい 073:会場 (ーー;)結婚会場予約の夢が 破れ葬儀の会場へ 074:唾 (ーー;)だっていいでしょ欲しいのだから じわり溢れる唾を飲む 075:…

こがらし吹けば

071:粉 粉々に火葬の骨は崩れ散り 熱風に母は揉まれて消えた 072:諸 生前の母を騙した諸々を 詫ぶ独り言こがらし吹けば 073:会場 「ママはどこ?風が寒い!」と探す父 母の葬儀の会場なのに 074:唾 唾棄すべき男を母は息子ゆえ 風の香りで守って死んだ 075:…

ベッドでは

066:缶 (ーー;)あき缶だったら潰せるけれど 潰したくない恋のかん 067:府 (ーー;)太宰府天満学問よりも 恋の成就を願かけて 068:煌 (ーー;)年はとっても煌きたいわ せめて見る夢きらきらと 069:銅 (ーー;)昔出会った愛しい人が 銅像みたいに胸の中 070:本 (ーー;)浮気…

窓打つ風雨

066:缶 薫風を味わいながら缶ビール 母が死に行く病室なのに 067:府 冥府から母の誘いが来るを待つ 午前三時の窓打つ風雨 068:煌 棺には風は届かず煌めきを 増すは花だけ母は死顔 069:銅 母偲ぶ涙が銅を腐蝕させ あの風色が版画のように 070:本 母看取る僕の…

すぐに惚れ

061:宗 (ーー;)宗派なんかにゃ属さぬけれど わたしゃあんたの信者です 062:万年 (ーー;)口説き文句は万年筆で 書いていたのに今メール 063:丁 (ーー;)好きか嫌いか丁半みたく 答え出せずに手を振って 064:裕 (ーー;)余裕ないわよ調べるなんて 縁を信じてすぐに惚れ 0…

朝風乱れ

061:宗 葬儀社に宗派伝えて慌ただし 母臨終の朝風乱れ 062:万年 生前の母が育てた万年青らも 秋風のなか雑草となる 063:丁 母の死後知る本籍は二丁目で 僕が知らない風が吹く街 064:裕 裕然と死を待つ母を茫然と ただ眺めては風も忘れて 065:スロー 死に至る…

燃えぬ仲

056:リボン (ーー;)リボン付けてた幼い頃は こんなことでは悩まぬに 057:析 (ーー;)今日の相手を分析すれば 水と油で燃えぬ仲 058:士 (ーー;)好きじゃないけど似た者同士 別れられない深い仲 059:税 (ーー;)たまにゃ税金払ってみたい 消費税より所得税 060:孔雀 (ーー;…

古きアルバム

056:リボン リボン付け袴の母が風に立つ 子を産む前の古きアルバム 057:析 涙から析出されぬ悲しみは 風に消えたか母の納骨 058:士 友同士語り広がる風聞は 母とは別の女の葬儀 059:税 形見分け清貧風に色あせた 税がかからぬ母の通帳 060:孔雀 母の死後母に…

腐れ縁

051:緯 (ーー;)仲はいいけど異なる緯度か まわりまわれど結ばれず 052:サイト (ーー;)遊びサイトで出会ったくせに 何を今さらマジになる 053:腐 (ーー;)好きじゃないけど嫌いじゃなくて 犬も食わない腐れ縁 054:踵 (ーー;)頭くび肩ももから踵 強く優しくマッサージ 0…

生ぬるい風

051:緯 つらい風北緯何度に舵とれば あの世の母にたどりつけるか 052:サイト 母に似た人を求めて彷徨える サイトの闇に生ぬるい風 053:腐 寒風の一人の部屋で冷奴 昨年までは母と湯豆腐 054:踵 母偲び涙なみだの葬儀終え 踵返してそれぞれの風 055:夫 夫婦と…

愚痴が出る

046:貨 (ーー;)貨物列車じゃないのよ私 心だけなら乗せるけど 047:四国 (ーー;)懺悔だらけの二人で巡る 四国遍路の長い旅 048:負 (ーー;)勝って帰らぬ時より負けて お金欲しがる時が好き 049:尼 (ーー;)尼という字は屁の字に似てる おさえきれずに愚痴が出る 050:答 …

風立つ朝に

046:貨 野辺の風母の遺骨に生命なく 貨物列車で運ぶみたいに 047:四国 四国さえ遠いからと行かぬ母 黄泉へ旅立つ風立つ朝に 048:負 風洗う焼野原立ち負けたのは 自分じゃないと母は生き抜く 049:尼 春風の尼僧のように微笑みて 息子を許す母の死顔 050:答 墓…

捨て扇

041:扇 (ーー;)あなた過ぎ去りベッドでひとり 閉じたまんまの捨て扇 042:特 (ーー;)今じゃ貴方は特別だから 何をされても好きな人 043:旧 (ーー;)旧という字をながめていると 1日みたいに見えてくる 044:らくだ (ーー;)堕落したって悔やみはしない 自分らしくてらく…

騒ぐ風鈴

041:扇 子供らが眠りつくまで団扇風 おくりつづけた母があの世に 042:特 特にない母の遺品を漁る秋 古びたヤカン騒ぐ風鈴 043:旧 旧道を押す車椅子母を乗せ これが最後の追い風の坂 044:らくだ 黎明にらくだのシャツで行く父を 風と見送るアカギレの母 045:…

熱が出る

036:バス (ーー;)二人入れば窮屈だけど 離れたくないバスルーム 037:療 (ーー;)治療できない私の病い すぐに恋して熱が出る 038:読 (ーー;)読んでみたいわ貴方の手紙 いつも短いメールだけ 039:せっかく (ーー;)入れてちょうだい濡れちゃう雨に せっかく二人になれた…

最後の寝顔

036:バス ソプラノがバスへと変わる呻き声 熱風は凍て母は無言に 037:療 治療法途絶えて母は死出を待つ 風に微笑む最後の寝顔 038:読 病床の母の想いを読み取れず カップ酒干す風下の闇 039:せっかく せっかくの介護保険も使わずに 風雪に耐え生きて死ぬ母 0…

ふられ雨

031:認 (ーー;)認めたくない振られたなんて きっと戻ってくるまでは 032:昏 (ーー;)婚という字の女が消えて 老いて黄昏(たそがれ)昏昏と 033:逸 (ーー;)かたいばかりの逸材よりも 粋でやんちゃな逸物と 034:前 (ーー;)出会う前から今度の恋は きっと泣くよな気がし…

黄昏の風

031:認 認印ひとつ押すごと母の死が 戸籍の底で風化していく 032:昏 呼びかけど母は応えず微笑まず 昏睡のまま黄昏の風 033:逸 時を止め母を殺して逸脱の 風はおさまりまた熱帯夜 034:前 「もういいよ行きな母さん」のろのろと 風車が止まる死の前夜祭 035:…

夢のあと

026:湿 (ーー;)湿った布団を干すのは眩し 燃えた二人の夢のあと 027:ダウン (ーー;)ダウンしたのね鼾をかいて 寝てるあなたが愛おしい 028:改 (ーー;)あれもこれもと改めました 惚れたあなたの言いなりに 029:尺 (ーー;)かたくなければ尺八だって 吹いたところで音は…