最後の寝顔

036:バス
ソプラノがバスへと変わる呻き声
熱風は凍て母は無言に

037:療
治療法途絶えて母は死出を待つ
風に微笑む最後の寝顔

038:読
病床の母の想いを読み取れず
カップ酒干す風下の闇

039:せっかく
せっかくの介護保険も使わずに
風雪に耐え生きて死ぬ母

040:清
病床のベタつく白髪清潔を
好んだ母にせめて清風