2013-06-01から1ヶ月間の記事一覧

帯解くに

066:雛 雛(ひょっこ)みたいな口説きじゃ落ちぬ 雄叫びひとつで帯解くに 067:匿名 好きと書きたい匿名ならば 人に言えない恋だから 068:怒 怒らないでよ浮気を責めた ことがそんなに許せぬか 069:島 洗い流そか涙と波で どうせかなわぬ島の恋 070:白衣 白衣…

叫びのように

076:ツリー あの頃は日々背を伸ばすスカイツリー アガパンサスの叫びのように 077:狂 振り向けばアガパンサスは狂おしく 先行き見えぬ終りなき道 078:卵 黄身割れた卵の殻を破壊する アガパンサスを摘めない指で 079:雑 振り向かぬ時を逃れて雑踏の アガパン…

夏になったら

061:奴 夏になったら冷んやり濡れて 白い素肌の冷奴 062:ネクタイ 俺を見上げてお前が締める うまくなったねネクタイを 063:仏 仏ごころになれそでなれぬ だって仏国(フランス)人じゃない 064:ふたご ふたごみたに似ている姉妹 だけど妹は若い肌 065:骨 か…

道の露草

071:謡 揺れ惑う心しずめて口ずさむ 童謡途切れ道の露草 072:汚 汚れなき言葉うしない露草も 涙も枯れて時は過ぎゆく 073:自然 僕らしい自分が消えて露草が 咲くも咲かぬも自然不自然 074:刃 露草のしずく癒せよ刃傷の 痕より深い言葉の傷を 075:朱 朱に燃え…

恋ごころ

057:台所 貴方残した歯ブラシひとつ 今もそのまま台所 058:脳 心離れぬ悩みの文字も 月と寄り添い冴える脳 059:病 恋の病は寝床でたえて 治ったふりして母の朝 060:漫画 漫画だったら笑えるかしら 誰にも話せぬ恋ごころ

道は終った

065:羽 蒲公英の綿毛みたくは羽ばたけぬ無精の髭は白さを増して 066:豚 海風に水仙は揺れ豚まんの残りも冷えて道は終った 067:励 励ましの風にまたがり赴任する種よ何処ゆくタンポポ残し 068:コットン 皺くちゃのままに干されたコットンは余生に揺れてプリム…

枯淡の色で

096:拭 ガマの穂で心拭えば従順に 癒えて童話の恋の寝枕 097:尾 尾行して棘刺す薔薇の無邪気さの 軽き言葉に振り向く血潮 098:激 老いらくは激しからずや傷つかぬ 日陰に恋す石蕗の花 099:趣 趣味的にセントポーリアと老いの恋 育みながら小部屋に飾る 100:…

それぞれの秋

091:締 単調な日々を締めくる夕餉には バジルとパクチーたっぷり飾る 092:童 老人も童も顔を赤らめて 七竈燃ゆそれぞれの秋 093:条件 ユーカリのアロマで胸を消毒し 条件を飲む振り返らずに 094:担 食い残すパセリと恋の未練乗せ 皿の担架は搬出された 095:…

イヤの山

096:取 取るに足りない あの癖でさえ 積もり積もればイヤの山 097:毎 毎度見慣れて見飽きていても 思い出せずにまた覗く 098:味 美味かないけど寂しい夜は頬を赤らめ舐める酒 099:惑 迷う下着がはらりと落ちて惑う想いも波の中 100:完 蜜柑皮むく炬燵の中で…

愛尽くし

091:債 雪がとけても芽が出ぬままに 債権ばかりが積もる夜 092:念 念仏みたいにブツブツ小言 仏のかみさん そっぽ向く 093:迫 怖い顔して迫ってきても シュンとすぐなり去るあなた 094:裂 先に裂かれる あだ花だけど 先に咲きたや 夜ふけ(老け)前 095:遠慮…

汚れた気分

096:交差 交差せぬ心と体交差する 月蝕くるまで汚れた気分 097:換 換えられぬ貴女の部屋に帰れない 月と心を凍りつかせて 098:腕 腕枕温もりもなく月隠れ イルミの帰路に棘も凍てつく 099:イコール 愛プラス貴女イコール 月隠れプラス憎しみセクスと嫌悪 100…

地獄を巡る

091:旅 誰よりも旅する二人月変化 同じ寝床で地獄を巡る 092:烈 烈烈の烈女の愛は強烈に 烈火烈寒烈日烈震 093:全部 全部脱げ月夜にさらせまだ脱げる この肉体はお前ではない 094:底 底無しのエゴイズムだねこの愛は 月さえ真っ赤に嫉妬で濡らし 095:黒 裸婦…