題詠都々逸 2011年

イヤの山

096:取 取るに足りない あの癖でさえ 積もり積もればイヤの山 097:毎 毎度見慣れて見飽きていても 思い出せずにまた覗く 098:味 美味かないけど寂しい夜は頬を赤らめ舐める酒 099:惑 迷う下着がはらりと落ちて惑う想いも波の中 100:完 蜜柑皮むく炬燵の中で…

愛尽くし

091:債 雪がとけても芽が出ぬままに 債権ばかりが積もる夜 092:念 念仏みたいにブツブツ小言 仏のかみさん そっぽ向く 093:迫 怖い顔して迫ってきても シュンとすぐなり去るあなた 094:裂 先に裂かれる あだ花だけど 先に咲きたや 夜ふけ(老け)前 095:遠慮…

みな捨てて

086:貴 生きていきます貴方とならば 家も仕事もみな捨てて 087:閉 閉じてしまった女の証 だけど乾くにゃ早すぎる 088:湧 枯れてしまったこの井戸でさえ あなた覗けば湧く泉 089:成 四角四面でつまらぬ角も 龍馬に成れば来る維新 090:そもそも 別れましょうか…

腐りゃせぬ

081:配 心配りが憎いじゃないか 確か取れてた このボタン 082:万 ついでおくれよ体の中は 揺れて煌めく万華鏡 083:溝 溝(どぶ)じゃないのよ私の溝(みぞ)は 変な臭いがしていても 084:総 総て終ったあの恋なのに 今も恋しと泣くからだ 085:フルーツ 食べ…

熱くとけ

076:ツリー ツリー見上げて降る雪さえも 恋の涙で熱くとけ 077:狂 狂いたいのよ狂ったかしら 恋に苦しむ夜よりは 078:卵 うまくむけずに悪戦苦闘 水をかけましょ ゆで卵 079:雑 雑なその手の動きでわかる 誰かいい人できたのね 080:結婚 結婚なんかは望まぬ…

隠す恋

071:謡 歌え童謡動揺せずに 幼心で隠す恋 072:汚 汚れちまったシーツの上で 二人座って言葉なく 073:自然 抑えきれずに自然に出ちゃう 熱い涙と声と息 074:刃 切ってみたけど刃こぼれかしら 未練ばかりが残る傷 075:朱 朱に交われば赤くもなるが 主と交わり…

伸ばす羽

065:羽 羽がはえたら貴方のもとへ 飛んでいくより伸ばす羽 066:豚 豚まんみたいと言われるよりは 肉マン見たいと言われたや 067:励 励む姿も今では哀し ムキで無理して愛もなく 068:コットン コットン湿らす涙のほうが 化粧水より多い夜 069:箸 拾い箸では縁…

題詠都々逸 2011年

061:有無 有無を言わさず産むのは愚か 熟んだ体にゃすぐに惓む 062:墓 会ったことないお前の母の墓前で二人誓う愛 063:丈 丈が短い どうしてかしら 洗い過ぎたか太ったか 064:おやつ ブス度いちばんデブ度はにばん三時のおやつは開花丼

題詠都々逸 2011年

057:ライバル あんな女がライバルなんて負けちゃおれぬと腰を振る 058:帆 風に身を売る帆掛けと違いわたしゃお主の櫂しだい 059:騒 騒ぐ酒よりしんみり二人はずむ話は床の中 060:直 あればいいのに直通電車 途中下車せず来ておくれ

題詠都々逸 2011年

053:なう 別れ坂道もつれる足に未練なみだの時雨なう 054:丼 見た目よりかは丼物の味の決めては汁しだい 055:虚 虚し過ぎるわ終わればすぐに鼾かかれて寝れぬまま 056:摘 ちょいとたまには人目を忍び口を近づけ摘み食い

題詠都々逸 2011年

049:方法 笑って別れる方法なんかなくて身体を凍らせて 050:酒 裂けた心が酒だと叫び避けて通れぬネオン街 051:漕 漕いでいきたや恋路が浜に涙みち潮ひかぬまに 052:芯 あきが来たのね芯まで冷えて熱い夜露も今じゃ過去

題詠都々逸 2011年

045:幼稚 幼稚過ぎるわ その手も口も乳を吸う子のほうがまし 046:奏 折れた尺八吹いても無駄よ例え一流奏者でも 047:態 態と態々姿態で媚びて言わせたいのよ したいよと 048:束 妻という名の束縛逃れ束の間だけの恋に燃え

題詠都々逸 2011年

041:さっぱり 久しぶりだね手料理なんて夜はさっぱりお酢だから お酢=雄 042:至 至らぬ女房も致せば至る至るところの穴埋めりゃ 043:寿 寿命などより伸ばしてほしい あれの長さとあの時間 044:護 介護しながらつくづく思う こんな男になぜ惚れた

題詠都々逸 2011年

037:ポーズ 浮気ぐらいで怒るじゃないよ笑って許してハイポーズ 038:抱 心迷うて抱かれてみたが虚しさだけを抱いただけ 039:庭 山に咲く花 蕾のうちに庭に移せば咲かず枯れ 040:伝 伝えたいのに伝わることは伝えたくないことばかり

題詠都々逸 2011年

033:奇跡 奇跡みたいな幸せ家族この子の父はどなたやら 034:掃 掃除させてよ貴方のお部屋私以外のゴミは捨て 035:罪 罪な幸せ お釣の罰も二人仲良く分け合うて 036:暑 冷えて乾いた心と体 暑い部屋でも解けはせぬ

題詠都々逸 2011年

029:公式 公式サイトで真面目なパパが裏のサイトでエロブログ 030:遅 デートするたび遅刻の彼は会えばとっとと先に行く 031:電 つながりたいのに留守電ばかり いつもひとりで声を出す ※留守電=彼が留守の時の電マ 032:町 村でムラムラしていた恋が まちがい…

題詠都々逸 2011年

025:ミステリー マジな亭主にゃ謎など解けぬ妻のヒステリーミステリー 026:震 震え止まらぬ幼い肩をそっと引き寄せ夜明けまで 027:水 水も滴り潮まで吹いて水をさすよに濡れシーツ 028:説 女なら 道を説くより帯解きながら肌で導く生きる道

題詠都々逸 2011年

021:洗 たんと泣きましょこのままずっと罪な心を洗うよに 022:でたらめ 言うのおよしよ でたらめばかり わかっているから好きなのは 023:蜂 蜂のあんたに刺されたせいで腫れてしまったこのお腹 【蜂のあんた=すけべなお方】 【蜂→八→エイトマン→Hマン(アル…

題詠都々逸 2011年

017:失 失礼しますと頭をさげてすぐに出て行く弱い彼 018:準備 あした着てゆく下着は決めたけれど心は準備中 019:層 早くしないとおべべが濡れるあれは雨雲乱層(卵巣)雲 020:幻 今は幻(まぼろし)お若い頃の主は手足が五本あり

題詠都々逸 2011年

013:故 故意の恋故(ゆえ)振られたとても流す涙も故意に出す 014:残 二人遊んだ玩具が残る別れた部屋の残酷さ 015:とりあえず 嘘で汚れた言葉はいらぬ抱いておくれよとりあえず 016:絹 絹と木綿とどちらがお好き白があきたら胡麻豆腐

題詠都々逸 2011年

009:寒 震え止まぬは寒さのせいか揺れる想いは誰のせい 010:駆 春はあけぼの寝ぼけた声で起きておくれと駆り立てる 011:ゲーム ゲームじゃないのに恋すりゃいつも負けた気分で出る涙 012:堅 堅いばかりが男じゃないが柔いばかりじゃ立たぬ役

題詠都々逸 2011年

005姿 変わり果てたる命よ村よ姿変われど風息吹く 006困 ルーがなければ困ったものよブルースだってブスのまま 007:耕 はたけ耕し種ばらまけど間引きしすぎりゃ実もならぬ 008下手 下手をしました選んだ人は下手な横好きだけの人

題詠都々逸 2011年

001:初 なぜか懐かし初めてなのにそんな貴方に身をまかす 002:幸 あちこち散った幸かき集め貼り絵で描く寒桜 003細 確かこの足か細い足が生きる旅路でむくむ足 004まさか まさか来るとは思いもせぬにまさかまさかで消えし村