2011-03-01から1ヶ月間の記事一覧

題詠 2010年

009:菜 妻は去り長さ異なる菜箸で食する菜花茹で過ぎたらし 010:かけら 見渡せど何か足りないひとかけらどこにあるのかかけらを探す 011:青 青白き頬に涙の跡誰か髪を引っ張る愛の暴力 012:穏 穏やかな風で洗えぬ陰影の隠れデコルテ輝く刹那

こうどう 折込都々逸

(ーー;)こうしてこうなりゃ 嬉しいけれど どうにもならない 薄暗さ (ーー;)ここまで来たのに 動きを止めて どうすりゃいいのさ 恨めしや (ーー;)来いと言われりゃ 有無をも言わず どこでも行くわ 後ろから (ーー;)恋をしたけど うしろめたさで どうでもいいよな 嘘を…

題詠 2010年

005:乗 乗る鞍の置場なきままペガサスの消えゆく彼方月も隠れて 006:サイン 死ぬまでは届かぬサインSOS来たぜ応答友は地獄に 007:決 あの時も決別なんて決意したわけではないがもう終りだね 008:南北 老醜は何を意味する観相家水野南北何と答える

がくしゃ 折込都々逸

(ーー;)マシンみたいに 何度もつがれ ビールグラスも やつれ顔 (ーー;)待ってちょうだい 涙を少し ビールグラスに 宿したい (ーー;)ままにならずに 涙も枯れて ビルの底から 闇も冷え (ーー;)負けた二人の 泣かずの夜は ビートルズだけが 闇に鳴る (ーー;)窓を開ければ…

題詠 2010年

001:春 春なのに春は来ぬまま四面楚歌眠れぬ夜明け目覚めぬ息吹 002:暇 なぜ抱くの濡れた瞳で問う君に暇だからさと呟く本音 003:公園 公園のベンチに腰をおろす時想い増しけり失業の鳩 004:疑 青空に疑問符描く雲見上げラブホに向かう二人坂道

雑詠 都々逸

(ーー;)拗ねるくらいは可愛いけれど 陳(ひね)たお前じゃ詰り節 (ーー;)馴染み過ぎたか詰まらぬ詰り名残り月夜も今日限り (ーー;)湯島天神お参りせずに切れぬふたりの坂の宿 (ーー;)鍵をかけてもちょっぴり隙間今も開けてる愛しくて (ーー;)すきはちょんの間さわやか…

雑詠 都々逸

(ーー;)他の女と肌交えても やはり気になる君の肌 (ーー;)今夜ひとりで飲もうじゃないか 燗はお前の肌くらい (ーー;)なぜに詰(なじ)るか たかだか浮気 詰る女より馴染む肌 (ーー;)浮気ひとつで詰られるなら 馴染み客にはなりはせぬ (ーー;)せっかくこうして馴染んだ…

題詠 2011年

013:故 故障した時計の隅の綿ぼこり母子草咲く心の部屋で 014:残 残尿の拭えぬ想い辛夷咲く老いの坂道ゆるりゆるりと 015:とりあえず とりあえずまだ生きてよか翁草やがては風に乗って消えよか 016:絹 絹を裂くような声して目を覚ます枝垂れ桜の影に怯えて

雑詠 都々逸

(ーー;)裏目裏目の人生だけどいつか花咲く芽もあるさ (ーー;)勝ってみたいが勝てないままに勝手な女にゃ買えぬ幸 (ーー;)勝って虚しい勝手な男かつての恋は買えぬ夢 (ーー;)焦り過ぎたか焦がしたルーじゃ煮込みきれずに流す恋 (ーー;)別れたくってするんじゃないが た…

題詠 2011年

009:寒 連翹が告げる春さえまだ寒く桜を見ずに死しし人々 010:駆(牧童) ユキノシタ気づかぬままに駆け込みの寺に向かう背何をか語る 011:ゲーム 老いらくの咲かせてならぬケシの花咲いてしまったゲームのように 012:堅 霜履(ふ)めば堅き氷に至るなば桜を…

冷凍マグロ 都々逸

(ーー;)へんな余韻が予感に変わり恋の終りに気づく夜 (ーー;)狭いベッドの片隅寄ってあなたが来ない夜なのに (ーー;)何年たっても残り香さえも思い出しちゃう辛い夜 (ーー;)涙流して天井見てたあの日あの時思い出す (ーー;)凍る私をとかしてくれる甘い一言なぜくれぬ …

題詠 2011年

005:姿 地の底を見つめる姿 遠くから瓔珞百合(フリチラリア)に手を触れもせず 006:困 紺碧の困惑ばかり想い出す忘れな草よ忘れさせてよ 007:耕 老朽の地を耕せば今もなおアンスリウムの血は絶えぬまま 008:下手 生きるのが下手だったからフルムーンを見ず…

題詠 2011年

001:初 名も知らぬ花と初めて出会う朝瓦礫と化した国揺れやまず 002:幸 地に落ちた椿の上の車いす幸を見たのか老婆微笑む 003:細 向上の心細々伸び悩む土筆が消えた川沿いの道 004:まさか 一瞬に揺れる想いも凍てつきてまさかアネモネ造花の世界

かげろう 折込都々逸

(ーー;)からだ老いても 元気な心 老人ホ-ムで 唄を詠む (ーー;)かあちゃん出ていく 玄関先で 浪曲子守 歌う父 (ーー;)カップ酒でも 下戸にはつらい ろれつ回らず 上の空 (ーー;)可愛くしたら 元気になるの ロリコンかしら うちの人 (ーー;)傘もささずに 下駄だけ利休 …

がくせい 折込都々逸

瓦礫と化した 国揺れやまず せめて巣だてよ 一年生 頑張れなんて 苦労知らずの 生活なのに 言えるのか 合掌します 雲見上げつつ 世相乱るな いつまでも 愕然として 苦しむ人の 背をながめては 祈るだけ 学生たちよ 来る日来る春 せいいっぱいに 生きてくれ

雑詠 都々逸

(ーー;)嫌な日ああ- 家のどこにも 私を待ってる 人はない (ーー;)ついて行きます あなたのあとを 影を慕いて どこまでも (ーー;)あなたの影の 中へとそっと 人に言えない 仲だから (ーー;)三十路四十路が 五十路なって 影が薄れて 増えるシミ (ーー;)お茶目なあの娘の…

結合の快楽

都々逸づくりを難しく感じるのは最初だけだ。つくり慣れてくれば楽しくなってくる。折込都々逸も慣れれば誰にでもできるようになる。次々と言葉が思い浮かび、自然に言葉と言葉が結合しながら物語を形成していく。

雑詠 都々逸

(ーー;)部屋で待つひと 別れた妻と どこか似ている 顔かたち (ーー;)他の人には 聞こえぬけれど 待つ身に届く 足の音 (ーー;)待っているわと 答えてみたが 待って待ってと 後を追う (ーー;)待つ人いない 寂しい部屋の 明かり消さずに 飲みに出る (ーー;)待っているから…

なぜ増えぬ

都々逸は日本の素晴らしい文化だと思うのだが、短歌や俳句人口からみると、都々逸を楽しむ人の数は異常と思えるくらいに少な過ぎる。 いろいろな人たちの都々逸を読みたいのだがなかなか仲間が増えない。少しでも都々逸の仲間が増えてくると嬉しい。

雑詠 都々逸

(ーー;)仕事探して 疲れてベンチ 寄ってくるのは 鳩ばかり (ーー;)鳩の暮らしも いじめが見える なぜに仲良く 餌わけぬ (ーー;)怪我した鳥は 波風立てず 後を濁さず 海に落ち (ーー;)干した布団を 叩いてみれば 夕べに飛んだ 夢のあと (ーー;)白い素肌と 真っ赤なハ-…

文字がなければ愛せない

都々逸は粋な言葉遊びだから、懸詞や二重の意味を持たせたり、駄洒落なども大切な要素にる。ただし文字を介在させずに音だけで、また注釈なしで相手にわかるものがよいとされている。 都々逸の優れた作品の多くが作者不詳まま残されてきたのは文字に頼らな…

そうべつ 折込都々逸

無季 送別 (ーー;)そ知らぬ顔で 嘘つかれても 別にとがめる つもりなし (ーー;)損と知りつつ 嬉しい日々よ 別の男じゃ つまらない (ーー;)そんな事など うわべの事じゃ 別に気にせず つるむのみ (ーー;)それは嫌よと うしろを向けば 別のところを 突いてくる (ーー;)そ…

色気より、やる気

都々逸だからといって色気がなければいけないとは僕は思わない。都々逸はいろんな状況、心境を気軽に表現できる。なにも粋だけの世界にこだわることはない。自分の世界を表現する手段のひとつにすればいいのだ。 練習ではいろんな都々逸を作ってみたほうが…

そうべつ 折込都々逸

(ーー;)そっと寄り添い 浮き立つ足で 紅をあなたに つける距離 (ーー;)外で飲まずに うちへと急ぐ ベッドの中で 妻が待つ (ーー;)その時いつも 浮かんでしまう 別居している 妻の顔 (ーー;)空は空だし 海は海だが 別別じゃなく 続いてる (ーー;)添い遂げましょう うと…

主役の座を譲る才女たち

座が乱れた時、粋な都々逸によって男たちのはやる心を沈めた。この手の都々逸はプロの女たちしか作れない。 都々逸の作者が見えてこないのは、芸者が主役になることはお座敷ではあり得ないことであり、才女であることを隠し、自分で作った都々逸でも自分が…

雑詠 都々逸

(ーー;)別れ来るなど 思いもせずに 前も後ろも 愛おしむ お前の過去も未来も全てを愛したいなどと言いながら、前や後ろから攻め立てていても、やがて終わりがやってくる。 (ーー;)二人で染めた 白髪も今は 妻を亡くして また白に (ーー;)嫌だ無理だよ さよならなん…

男を立てて

くだらない都々逸は客か幇間(太鼓持ち)が作り、粋な作品は芸者衆が作ったと僕は考えている。 なぜ詠み人知らずの都々逸が多いのだろうか。 女は接待する側で、男を立てなければならず、馬鹿な男の前で文才をひけらかすと、客が引いてしまう。 芸者「何か…

雑詠 都々逸

(ーー;)別れて地獄 添うても地獄 苦しみばかり 恋の道 (ーー;)小指と小指 からませながら いつのまにやら 夜が明ける (ーー;)春になっても 眠れぬ夜は 暁待ってる 床ひとり (ーー;)枯れた井戸でも 二人で暮らしゃ 月が差し込み 水が湧く (ーー;)朝になったら 後朝(き…

文才ある女たち

「お前百までわしゃ(おりゃ)九十九までともに白髪の生えるまで」 これは有名な都々逸だし、素晴らしい作品なのだが、作者は不明だ。作者はおそらく女だと思う。都々逸の作者は女のほうが多いだろう。 都々逸はお座敷芸として栄えた。客は男たちで、もてな…

あいす 折込都々逸

(ーー;)あがいてみても いとしい人に 好きになっては もらえない (ーー;)熱燗ひとつ いかがと聞いて すっと寄り添い 手を握る (ーー;)愛想悪いが いい人みたい 好きに嫌いが 早変わり (ーー;)合うか合わぬは いついつ決まる 素肌重ねりゃ すぐわかる (ーー;)会って二日…