男を立てて

    くだらない都々逸は客か幇間太鼓持ち)が作り、粋な作品は芸者衆が作ったと僕は考えている。

    なぜ詠み人知らずの都々逸が多いのだろうか。 
    女は接待する側で、男を立てなければならず、馬鹿な男の前で文才をひけらかすと、客が引いてしまう。

芸者「何か粋な都々逸、おひとついかがですか?」 
   男 「よかろう。 

         ♪山のアケビは何見て開く下のマッタケ見て開く 

           ぎゃはは…どうれ、お前のアケビも開いてやるぞ」 
芸者「松茸は後の夜食にいただきますから、ささ都々逸をもうひとつ…」 
   男 「次はお前が歌え」 
芸者「では私が好きな都々逸を一つ 

♪お前百までわしゃ九十九までともに白髪の生えるまで 

       旦さんとこうなりたいわね」 
   男 「上手いことをいうな。お前の面倒はずっとみてやるよ(俺には妻がいるんだ)」 
芸者「約束ですよ…(誰がお前なんかと)」