2013-01-01から1年間の記事一覧

私、待つわ

今年もまたクリスマスがやってきた。僕はクリスマスケーキよりシュトレンが大好きで、この季節になると無性に食べたくなる。シュトレンは生地にドライフルーツやナッツが練りこまれており、表面には砂糖がまぶされている。あのずっしり感がたまらない。ドイ…

大好きだよ

「惚れた数から振られた数を引けば女房が残るだけ」 という都々逸がある。 いろいろ惚れてはみたものの振られてばかりで結局は女房しか残らなかったわけだが、この男、しかたなく今の女房と結婚したというわけではなく、妻とは相思相愛の仲であり、妻に対す…

今日も濁して

096:季節 枯れ枝は若葉青葉の季節経て 今は枯葉の上を貴女と 097:証 生きてきた証を捨てて老い仕度 枯葉とともに土へと帰す 098:濁 水墨の景色の中に散る枯葉 別れの言葉今日も濁して 099:文 夕闇の枯葉の上に書く文字は 「老」より「恋」の一字を選び 100:…

さまざまな色

096:季節 変わりゆく季節を浴びて恋の路 春夏秋冬さまざまな色 097:証 歳月が愛を育む確証は 会えば会うほどさらに遠のく 098:濁 濁流が緩やかになり上澄みが 清流となる老後目指して 099:文 恋愛は文字がなければ絵にならず 別れも文字で色塗りながら 100:…

濁り酒

096:季節 季節変れば忘れるかしら 忘れられないこの季節 097:証 惚れた証に裸になって 肌が合わないことを知り 098:濁 白い液体目を閉じグッと 無理に飲み込む濁り酒 099:文 破り捨てましょ恋文なんて どうせ返事を書けぬ人 100:止 逃げて行きたきゃお好きに…

海へと歩く

091:鯨 鯨追い闘い挑む心無く 水仙と海に癒し求めて 092:局 心底の局所の痛み隠し持ち 海岸線の水仙ロード 093:ドア 妄想のドアを押し開け水仙の カーペット踏み海へと歩く 094:衆 観衆の色に染まらず水仙は 海と空とに黄色く映えて 095:例 水仙と水面に映す…

斜塔のように

091:鯨 ホエールズはDeNAに移り行き 鯨が消えてゲーム時代に 092:局 破局した夫婦のままで時を積む 傾斜を増した斜塔のように 093:ドア ドア叩き助け求めて泣き叫ぶ 自分で鍵をかけているのに 094:衆 群衆の中の一人と知りながら 君と僕との二人の世界 095:…

濡らすけど

091:鯨 鯨みたくは潮など吹かぬ 涙で枕は濡らすけど 092:局 嫌になるわね時間をかけて 局所ばかりを攻める囲碁 093:ドア 誰も来ないし何処にも行けぬ ドアの合鍵あげたのに 094:衆 下衆(げす)な男に舐められちゃうと 下衆な女になりそうで 095:例 浮気なん…

命は紅く

086:ぼんやり 寒牡丹だけにピントが絞られて ぼんやりとした温もりは消え 087:餅 餅と雪真白き幸に寒牡丹 命の紅をさらに加えて 088:弱 わら囲いされ寒牡丹積もる雪 弱音吐かずにひっそり咲いて 089:出口 人妻と小雪舞い出す出口来て また振り返る寒牡丹園 0…

溜息の朝

086:ぼんやり ぼんやりと日向ぼっこをするように 暮らせる伴侶いまだ出会えず 087:餅 青黴の餅懐かしや黴生えぬ 時代の日々は変化なきまま 088:弱 還暦の齢重ねて弱々し 朝な夕なに冷えゆく机 089:出口 目の前に楽に通じる出口あり なおも争い留まる二人 090…

湯で癒し

086:ぼんやり ひとり正月ぼんやり過ごす 恋の痛手を湯で癒し 087:餅 ついてくれたら餅肌なのに 忘れさられりゃひび割れる 088:弱 弱い男は好きではないが 弱いあなたが愛しくて 089:出口 入る時より出口を開ける 時が恥ずかし残り香が 090:唯 酒を飲みましょ…

老けゆく自分

081:自分 年一度自分に贈るシクラメン 胸に抱きしめひたすら歩く 082:柔 新しいマフラーに託す柔らかさ シクラメン色の少し派手めな 083:霞 シクラメンは内弁慶で鉢暮らし 霞草とは出会えぬままに 084:左 左にはシクラメン咲き右手には 鏡の中で老けゆく自分…

青春の下駄

081:自分 流されて自分らしくは生きれずに それが自分と気づく黄昏れ 082:柔 柔らかく人に接する難しさ 闇夜にひとり朝までひとり 083:霞 行く道は闇に阻まれ来た道は 霞の奥でうごめく涙 084:左 右顧左眄一日終えて懐かしむ 右往左往の青春の下駄 085:歯 幻…

日向ぼこ

081:自分 自分らしくはないけど今日は 甘えたくなる日向ぼこ 082:柔 年を召したか体はかたく あそこばかりは柔らかで 083:霞 どこに消えたか白無垢の夢 はるか彼方に霞草 084:左 左前でも左党の意地よ 高いお酒をグイと飲み 085:歯 歯型残して誇ってみても …

静かに散って

076:納 納骨はわずかな骨と思い出と 散るひとひらの山茶花と雨 077:うっすら 山茶花が冷えた二人にうっすらと 赤を与えて隙間を埋めて 078:師 はや師走けばけばしさに背を向けて 山茶花のもと溜息ひとつ 079:悪 椿ほど悪と似合わぬ山茶花は ほどほどに生き静…

傘もささずに

076:納 この雨に納得できるわけもなく ただ怖いだけ傘もささずに 077:うっすら うっすらと心に積もる日常が 春を遠ざけ夢を凍らす 078:師 魚偏に師を並べれば鰤になる 女に師ならブスと読むのか 079:悪 いつだって悪いのは僕さようなら 雲を追いかけ生きてい…

箸の仲

076:納 納豆みたいにべたつくよりも すっと横たう箸の仲 077:うっすら うっすら浮かんだ涙と汗で しかと感じる深い仲 078:師 漁師のあなたに釣られてしまい 教師のあなたに教えられ 079:悪 悪い人だとわかっていても 抱いて欲しいと思う人 080:修 恋をするの…

小さな命

071:得意 盛り花のストレリチアは得意げに 花に囲まれ花を従え 072:産 微笑めばストレリチアに祝されて 産着の中の小さな命 073:史 繰り返し地獄ばかりの歴史あり ストレリチアよ極楽は夢 074:ワルツ 館内にワルツが流れ群衆も ストレリチアも踊り出しそう 0…

還暦を過ぎ

071:得意 得意げに語り明かした若き日の 人生論とは異なる老後 072:産 七五三着飾る子等の微笑みに 面影残す産声の笑み 073:史 殺戮の歴史を閉じて戦争を 知らない子らも還暦を過ぎ 074:ワルツ 飲むほどにワルツのように酔いが舞う 今宵の君はとても綺麗だ 0…

幸せを

071:得意 わたしほんとはまだまだなのに いつもあいつは得意顔 072:産 産んでみたいの産ませおくれ あんたなしでも育つから 073:史 泣いてばかりの自分史だけど いつか書き足そ幸せを 074:ワルツ ダンス相手はワルツのように 飲む打つ買うの三拍子 075:良 良…

迫り来る椅子

066:きれい カサブランカより妖艶な君なれど この花きれいとしか言えない 067:闇 暗闇にカサブランカの匂いして 突然光る携帯電話 068:兄弟 兄弟がカサブランカを娶ったら 家を飛び出し山に逃げよう 069:視 逃げ惑い視線逸らせどいつの間に カサブランカは視…

見捨てた僕に

066:きれい いつまでも二言だけで暮らせたら 憎みはしまい「おいしい・きれ い」 067:闇 静寂に耳傾けて闇の音 まだ生きている自分を殺し 068:兄弟 ぶたれても兄にすがるか幼子よ 兄弟喧嘩にイジメの縮図 069:視 視線など逸らしてしまえ逸らしても 僕には見…

闇の音

066:きれい 綺麗だなんて今さら何さ 早くきれいに切れとくれ 067:闇 闇という字は御門に音よ 声も殺せぬ闇の音 068:兄弟 ちょいとごめんね あんたとあいつ いつの間にやら兄弟に 069:視 いつの間にやら視力も落ちて 見えるものまで目をそらし 070:柿 柿が熟…

微風に濡れて

061:獣 蒲の穂に我も身を寄せ古の 小獣ごとき傷を癒すか 062:氏 氏素性わからぬままの神代より この蒲の穂も我にも祖あり 063:以上 水盤に蒲の穂三本挿し終えば それ以上凛と他を寄せつけず 064:刑 刑場の跡地巡りて荒川の 蒲の穂綿は微風に濡れて 065:投 静…

哀しき笑顔

061:獣 あの時の野獣の痛み消えた今 人間みたく哀しき笑顔 062:氏 いつの日か摂氏零度に戻せたら 凍てつく家を水に流そう 063:以上 さようなら イルミネーションこれ以上 涙の中で凍らす前に 064:刑 流刑地にたどり着けずに彷徨えば たどり着けずにたどり着…

恐い朝

061:獣 獣みたいに乱暴だけど 子猫みたいで憎めずに 062:氏 願を懸けましょ氏神さまに 同じ氏名(うじな)になるように 063:以上 消えておくれよ惚れてるうちに 嫌いたくない これ以上 064:刑 どんな刑でも恐くはないが 体重計が恐い朝 065:投 懐かしいわね …

時に染らず

056:善 善人の顔と似合えど善い人の こころと合わず薔薇は買わない 057:衰 衰えた薔薇いちりんを薔薇たちは 包み隠して今日も薔薇園 058:秀 閨秀を薔薇園みたく寄せ集め 競い咲かせばただ息苦し 059:永遠 永遠の紅さを増して薔薇になる 朝陽夕陽の時に染らず…

堕落した屁も

056:善 欲望も野望も消えて善人に なったはずだが声は悪人 057:衰 衰退ははたから見れば醜態に 映るものらし堕落した屁も 058:秀 いよいよか寿命近づく蛍光灯 秀という字が無縁な部屋で 059:永遠 永遠の恋などないとだらだらと 争いながら終わる一日 060:何 …

永遠(とわ)のひと

056:善 親が勧める善い人よりも 友に好かれるこの方と 057:衰 しかたないわよ衰えたって だけど今でも温いひと 058:秀 どこがいいのか秀でたところ なんもないけど好きなひと 059:永遠 たった一夜で終ったけれど 次の恋まで永遠のひと 060:何 何故にそんなに…

紅葉(もみじ)は濡れて

051:般 紅葉には般若の面がよく似合う 嫉妬の責めも読経の中 052:ダブル 礼服のダブルの重さ脱げぬまま 紅葉もみじの中へなかへと 053:受 それぞれの哀しみなどは受け入れず ただ赤々と紅葉は濡れて 054:商 参道で商う声に誘われて まずい酒でも紅葉気分に 0…