微風に濡れて

061:獣
蒲の穂に我も身を寄せ古の
小獣ごとき傷を癒すか

062:氏
氏素性わからぬままの神代より
この蒲の穂も我にも祖あり

063:以上
水盤に蒲の穂三本挿し終えば
それ以上凛と他を寄せつけず

064:刑
刑場の跡地巡りて荒川の
蒲の穂綿は微風に濡れて

065:投
静々と風も吹かぬに投降の
蒲の穂綿は白き流人か