2013-01-01から1年間の記事一覧

最終電車

051:般 一般の席に座れず押し出され 見えぬ舞台の光と影と 052:ダブル シングルをダブルに変えてバーボンの 覚めゆく夢の濃度を少し 053:受 今日もまた受付時間終了 天国行きの最終電車 054:商 飽きないで恋の買い手がつくまでは 商いならば帰れぬ日暮れ 055…

今日は駄目

051:般 般若のように歪んだ顔が やがて菩薩にのぼりつめ 052:ダブル ダブルベッドじゃそろそろ狭い ダブっとだぶつく腹ふたつ 053:受 受けてあげてもいいけどあんた ちゃんと覚悟があるのなら 054:商 金じゃ売れない商品だけど 金をおくれよあげるから 055:…

互いに老いて

046:間 柳蘭動かぬ蜂を眠る子の ように背負いて時間を止めて 047:繋 天空に繋がり求めひとつずつ 柳蘭咲く上へ上へと 048:アルプス 目の前に咲く柳蘭アルプスや 山火事跡に咲くらしロマン 049:括 山道を括り染めゆく柳蘭 花期の終りを綿毛に包み 050:互 柳蘭…

消え去る時間

046:間 書棚増え埋め尽くされた空間に 満たされぬまま消え去る時間 047:繋 沈澱の言葉うごめき繋ぎあい 意味をなさずにさらにもつれて 048:アルプス アルプスをテレビで見てた君が呼ぶ ねぇ買ってきて!食べよモンブラン 049:括 カケるより括弧つければタス…

見るがラク

046:間 よしておくれよ間抜けた顔で 見つめられたら間が持たぬ 047:繋 繋ぐつもりが繋がれたまま あいつばかりが浮気して 048:アルプス 白い乳房もアルプスみたく 征服するより見るがラク 049:括 一括払いで燃え尽きるより 月賦でいいから末長く 050:互 好く…

ざわめく彼岸

041:カステラ カステラの甘みほどよく菊日和 ひとり飲む茶に笑顔映して 042:若 まだ咲かぬ青さばかりの菊花展 花がなければ若さも哀し 043:慣 慣習の色鮮やかな菊月に 我を忘れて倭人に帰る 044:日本 カタカナの名の花は増え菊は消え 日本の墓がざわめく彼岸…

甘味の中で

041:カステラ カステラに口つけぬまま見つめあう すでに二人は甘味の中で 042:若 若さゆえ許されていたあの癖の ままで二人に深まる亀裂 043:慣 慣性で完成できぬ感性は 陥穽におち閑静な街 044:日本 日本語で愛と憎しみ哀しみさえも 表現できずウムとつぶや…

馴染む肌

041:カステラ デコレなしでもカステラみたく しっとり甘いこの素肌 042:若 若かぁないけど心の奥で いまだ咲かずにいる蕾 043:慣 飽きちゃ嫌だよもぅ少し抱いて 慣れていくほど馴染む肌 044:日本 日本人なら大より小で 小粋な夜のささめごと 045:喋 喋りたい…

秋の気配を

036:少 食卓に赤ひと枝の花なすは 秋の気配を少し早めに 037:恨 花なすは食べてもらえぬ赤い実の 中に恨みを硬く閉ざして 038:イエス イエスとは言えないままに花なすの 実をもぎ捨てるゆるり静かに 039:銃 いつまでも風情変らぬ花なすを 銃撃したくなる夜だ…

糠漬けの味

036:少 少しだけ嫌いになったあの日から 少しは好きに変わる歳月 037:恨 おそらくは恨みを飲んでいた母の 塩がきつめの糠漬けの味 038:イエス 遮断され呼べど戻らぬイエスタディ 今日から一人またとぼとぼと 039:銃 銃弾に当ったみたく心死す 笑いの中のその…

それを抱きしめ

036:少 少女みたいに泣いてる私 それを抱きしめ老いてゆく 037:恨 ひどい貴方を恨んじゃいない 惚れて出てくる恨み言 038:イエス 昨日だったら今日とは違い イエスと言えたイエスタディ 039:銃 取っておくれよ兄(アニー)さん銃を あんたのタマなら当たりた…

風ににぎわう

031:はずれ またひとり人影消えた町はずれ シシウドだけが風ににぎわう 032:猛 黒々と猛暑を印す肌褪せて シシウド揺れる白の秋風 033:夏 里よりもひと足早く山の辺の 夏を終らす猪独活の群 034:勢 天使らが勢い集うシシウドは 汚れを知らぬ白色に舞う 035:…

鬼になるだけ

031:はずれ 君が住む街をはずれて振り返る 二度と戻らぬ旅人みたく 032:猛 猛獣と呼ばれるゆえに猛々し 哀しみ唄う泣き声さえも 033:夏 夏野菜たっぷり入れてぐつぐつと 煮込むカレーを待てずにビール 034:勢 子供らの勢い消えて雑然と 静まり猫がいるだけの…

夏だから

031:はずれ ポイと捨てても舞い散りゃせぬわ はずれ馬券じゃあるまいし 032:猛 猛暑でしたね今年の夏は 猛烈でしたね燃えた夜 033:夏 好きで抱かれたわけではなくて 脱ぎたくなるよな夏だから 034:勢 老いた亭主は勢い消えて 今じゃわたしが上になる(乗る)…

吾亦紅(われもこう)

026:期 期限切れの赤になるなよ吾亦紅 このままずっと酔っていようよ 027:コメント 我もこうなりたいというコメントの 朱に交わらず咲く吾亦紅 028:幾 幾分は老いたこの目に吾亦紅 枯淡の赤を味わいながら 029:逃 逃げるのをやめ振り向けば吾亦紅 気づかず過…

慈恩に満ちて

026:期 いつまでも待機していた期待たち 涙になれず気体になった 027:コメント 一行のコメント残し捨てる部屋 受信つぎつぎ削除しながら 028:幾 交わらぬままに描いた恋ごころ 荊みたいな幾何学模様 029:逃 昨日から今日へ明日へと逃げていく そのわけなどは…

キスの跡

026:期 これが最期と晒した素肌 今も消えないキスの跡 027:コメント いつも優しいコメントだけど 会えばやっぱりエロい人 028:幾 二人出会って幾年暮し 残り幾年暮らすやら 029:逃 逃げたあなたを追いかけながら 横のお方が気にかかる 030:財 財産どころか財…

そっとこのまま

021:仲 睦まじく紫苑を眺めもう少し 恋仲みたくそっとこのまま 022:梨 梨むかれ果皮は地に落ち白き実を 紫苑の野辺の空に掲げて 023:不思議 紫苑揺れ不思議な時に包まれる 紫式部も見たこの花と 024:妙 神妙に心もてなす紫苑らに 招かれ夏の愛から脱走 025:…

酔いもまだらに

021:仲 仲直り子供みたくはできぬまま 仲直りせず続く日常 022:梨 並ぶ梨長十郎の姿なく 幸水豊水みずっぽい日々 023:不思議 この人と出会い今なお別れずに 吐息ばかりの不思議な暮し 024:妙 吐き出せぬ言葉巡りて苦々し 微妙な酒に酔いもまだらに 025:滅 幻…

仲の秋

021:仲 山もあの娘も色づきはじめ 更に深まる仲の秋 022:梨 秋の夜長に梨(無し)では寒い 栗や茸でじっくりと 023:不思議 好きになるとは不思議なものよ あんなことまでしたくなる 024:妙 妙なもんだね何度も見ても すぐに忘れて また覗く 025:滅 よしてお…

倒されたまま

016:仕事 台風が過ぎて晴れても秋桜と 仕事の欲は倒されたまま 017:彼 秋桜と彼岸花とは似合わない まるで僕たち二人のように 018:闘 風に乗りゆらりゆらゆらコスモスは ゆるり闘う痩せたボクサー 019:同じ 大群のコスモス枯れて今もなお 同じ大地に咲く陰の…

汗のシルエット

016:仕事 不器用な時を費やし手仕事で 建てて壊して築けぬ家庭 017:彼 彼方から走り近寄る幸福は 不幸の果実手土産にして 018:闘 団欒のテーブル下の暗闘は 離婚届けを隠し今夜も 019:同じ くっきりと境界線が示す仲 同じベッドに汗のシルエット 020:嘆 感嘆…

寄り添うて

016:仕事 仕事するよに抱くのはやめて お金払ったわけじゃなし 017:彼 彼と言うより枯れ木のような 枯れたあなたに寄り添うて 018:闘 闘う相手はあなたじゃないわ 浮気相手のあの女 019:同じ 同じあやまち また繰り返す よせばいいのに また惚れて 020:嘆 嘆…

言うか黙るか

011:習 観月の習わし消えた窓辺立つ すすきの風を想い浮かべて 012:わずか 風わずか吹けば尾花は揺れ止まず 行くか戻るか言うか黙るか 013:極 極端な静けさを増し夕陽さす プールにすすき子等に変わりて 014:更 またひとつ色を失い更ける夜に 芒ばかりが揺れ…

失う言葉

011:習 愛し合う習慣薄れ憎みあう 時を重ねて失う言葉 012:わずか もう二度と帰らぬ家を見渡せば わずかに残る梅酒梅の実 013:極 恋に酔い極彩色の眩暈より 朝一杯のフレッシュジュース 014:更 衣更えオードトアレも新しく 恋の匂いに温もり増して 015:吐 吐…

すがる夜

011:習 五十過ぎての手習いでした そこで覚えた恋の味 012:わずか わずかばかりの誠を信じ 捧げたいのよ何もかも 013:極 好きと嫌いの両極端を 行ったり来たりの恋心 014:更 惚れたわけではないのよたぶん ぽっとしたのは更年期 015:吐 青息吐息の毎日だけど…

咲く彼岸花

006:券 群れ群れて金券シート敷き詰めて 高まる価値か咲く彼岸花 007:別 彼岸花曼珠沙華か死人花 呼び名ひとつで別の想いに 008:瞬 彼岸花咲きて瞬時に変わりゆく 季節とともに衣も恋も 009:テーブル テーブルの一輪挿しに彼岸花 残した君の想いは何か 010:…

別れを避けて

006:券 風に舞う馬券どこ行く踏まれても 拾われもせず取り残されて 007:別 別れては新たな恋に燃えた過去 今は怠惰に別れを避けて 008:瞬 時経れば嫌という字を重ね塗る 瞬時芽生えた恋の絆に 009:テーブル 黙すればさらに隔たる広がりに カップ二つを乗せた…

会えた夜は

006:券 風に舞い散る馬券のような わが身拾うてくれた人 007:別 別れましょうよ も一度花を 咲かせましょうよ別々に 008:瞬 待てば長夜も瞬くうちに 明けの烏か会えた夜は 009:テーブル テーブルいっぱい手料理並べ 今日も来ぬ人待ちながら 010:賞 しょうが…

君は微笑む

またひとつ弱さ纏いて新たなる 強さ求めて竜胆の坂 甘言を弄する術も身につかぬ ままに佇む道に竜胆 各論を寄せ集めても竜胆の 青にならずに咲かずに枯れて 竜胆を手向ける風の哀しみに 寄り添いやがて君は微笑む 竜胆に託す叫びは土を打ち 嵐の中にかき消さ…