慈恩に満ちて

026:期
いつまでも待機していた期待たち
涙になれず気体になった

027:コメント
一行のコメント残し捨てる部屋
受信つぎつぎ削除しながら

028:幾
交わらぬままに描いた恋ごころ
荊みたいな幾何学模様

029:逃
昨日から今日へ明日へと逃げていく
そのわけなどは知らされぬまま

030:財
西陽さす弁財天の微笑みは
今朝よりずっと慈恩に満ちて