秋の気配を

036:少
食卓に赤ひと枝の花なすは
秋の気配を少し早めに

037:恨
花なすは食べてもらえぬ赤い実の
中に恨みを硬く閉ざして

038:イエス
エスとは言えないままに花なすの
実をもぎ捨てるゆるり静かに

039:銃
いつまでも風情変らぬ花なすを
銃撃したくなる夜だった

040:誇
花なすの小さな実り葉を落とし
精一杯に赤を誇示して