題詠都々逸 2010年

息もできずに

096:交差 やって来た道あちらとこちら ちょっと交わる交差点 097:換 あっちのお方と交換したい もしも自分が変われたら 098:腕 息もできずに疲れる首で されて苦しや腕枕 099:イコール 恋と欲とはイコールかしら 早くこいこい いいコール 100:福 笑い哀しや…

久しぶりよね

091:旅 久しぶりよね二人でお風呂 だけどせぬまま夫婦旅 092:烈 見た目だけよね猛烈そうで 役に立たない酔うた人 093:全部 全部脱げよとおっしゃるけれど 好きなあなたにゃ隠したい 094:底 底を覗けば わがままばかり 上げ底よりも嫌なやつ 095:黒 苦労ばか…

恋の泡

086:水たまり 乱れ下着をのぞかれそうで 越すに越せない水たまり 087:麗 春に戻れりゃこの恋だって 秋も来ぬまま麗らかに 088:マニキュア 重ね塗りましょマニュキュアの恋 だけど隠せぬ爪の跡 089:泡 慌てないでよゆっくりおやり どうせ一夜の恋の泡 090:恐…

千夜枕を

081:シェフ 今夜たっぷり食べたいお肉 どんなコースかシェフ次第 082:弾 弾む心であなたのもとへ 沈む思いで帰る家 083:孤独 孤独だけれど愛しい人の 夢を見ましょか ほろ酔いで 084:千 千夜枕を並べた仲も 浮気一夜で閉じた幕 085:訛 御国訛りで甘えてみたい…

夜になったら

076:スーパー いつもコンビニ今夜はスーパー たまに来る日はあの人と 077:対 試合長引き意識も薄れ 対戦相手の汗の味 078:指紋 あそこばかりに指紋を残し すぐに逃げ出すヘボなドロ 079:第 心第一 気にせぬ顔は だけどあんたの顔が好き 080:夜 夜になったら…

色は褪せても

071:褪 色は褪せても寝床でたまにゃ 汗のあなたを思い出す 072:コップ 冷やをコップで一気にあおり 酔えば酔うほど寂しさが 073:弁 妻じゃないけど愛妻弁当 つくり笑顔で送り出す 074:あとがき 楽しかったと泣かずに書くわ 終った恋のあとがきに 075:微 意味…

帯解くに

066:雛 雛(ひょっこ)みたいな口説きじゃ落ちぬ 雄叫びひとつで帯解くに 067:匿名 好きと書きたい匿名ならば 人に言えない恋だから 068:怒 怒らないでよ浮気を責めた ことがそんなに許せぬか 069:島 洗い流そか涙と波で どうせかなわぬ島の恋 070:白衣 白衣…

夏になったら

061:奴 夏になったら冷んやり濡れて 白い素肌の冷奴 062:ネクタイ 俺を見上げてお前が締める うまくなったねネクタイを 063:仏 仏ごころになれそでなれぬ だって仏国(フランス)人じゃない 064:ふたご ふたごみたに似ている姉妹 だけど妹は若い肌 065:骨 か…

恋ごころ

057:台所 貴方残した歯ブラシひとつ 今もそのまま台所 058:脳 心離れぬ悩みの文字も 月と寄り添い冴える脳 059:病 恋の病は寝床でたえて 治ったふりして母の朝 060:漫画 漫画だったら笑えるかしら 誰にも話せぬ恋ごころ

題詠都々逸 2010年

053:ぽかん ぽかんと浮かんで壊れて匂う風呂のおならのような恋 054:戯 たった一度の戯れでしただけど今でも好きな人 055:アメリカ 米はアメリカ日本はジャパン米の心は今いずこ アメリカなのに米国とはこれいかに 日本でもジャパンというがごとし 056:枯 …

題詠都々逸 2010年

049:袋 指を入れたら湿気ったみたい久しぶりだね袋菓子 050:虹 虹という虫かからぬ恋は悪い虫しか寄って来ぬ 051:番号 電話番号震える指で回し別れを告げた冬 052:婆 女心を世間の波の下に隠して婆婆になる

題詠都々逸 2010年

045:群 群れを離れた貴方が好きで故郷捨ててついて行く 046:じゃんけん 浮気したでしょじゃんけんしましょあたし負けたら許すから 047:蒸 汗や涙や哀しみさえも蒸発したとてまた雨に 048:来世 命捧げて現世で惚れて来世で笑う余裕なく

題詠都々逸 2010年

041:鉛 鉛色した雨打つ道であの日別れた三年前 042:学者 学者みたいな顔してじっと見つめないでよお馬鹿さん 043:剥 この身剥ぐよに尽くした日々を捨てて出て行く男(ひと)の背中 044:ペット ペットになれずにボトルにされて踏んで潰され捨てられて

題詠都々逸 2010年

037:奥 もっと奥まで知りたいけれど たどり着けずに謎のまま 038:空耳 わかっているのに空耳なのはそれでもちょっぴり振り返る 039:怠 ちょいと一杯休もじゃないか怠けて気づくこともある 040:レンズ 眼鏡レンズが涙で曇る見たくないほど哀しくて

題詠都々逸 2010年

033:みかん 未完で終らぬ二人の運命みかん皮むく年の暮れ 034:孫 少し流れる自分の血筋握る孫の手温かく 035:金 花の金曜失業したら金と一緒に今は消え 036:正義 何を今さら正義も不義も とうに無縁の蜜の味

題詠都々逸 2010年

029:利用 利用されたと昔は泣いた利用する人いない今 030:秤 妻とあの娘と秤にかけりゃ浮いた浮気に気が沈む 031:SF SFはお好きですかと聞かれてイエス セックスフレンド募集中 032:苦 遠慮などせず苦労をおかけ判官贔屓のわてだから

題詠都々逸 2010年

025:環 環境次第で寿命も延びる相手変えれば続く恋 026:丸 丸い月でも欠けてくように明るさだけじゃ生きられぬ 027:そわそわ 気分そわそわ そろそろしよう そうそうそこそこ その感じ 028:陰 ちょいと見た目にゃ陰気なお方床の中では陽な人

題詠都々逸 2010年

021:狐 晴れた公園あなたといたら濡れてしまった狐雨 022:カレンダー この子誰の子生理が来ずに手帳開けばカレンダー(彼んだ) 023:魂 死んだみたいね終ったあとは慰めたくなる鎮魂歌(チン来んか?) 024:相撲 四十八手もあるのにいつも同じばかりの大相撲

題詠都々逸 2010年

017:最近 最近年だとよく言うけれど若い頃から弱い男(ひと) 018:京 あの頃は ふたり見上げた東京タワー愛を誓ったクリスマス 019:押 押しておくれよ女のツボを押せば泉が湧くように 020:まぐれ じらさないでよその手が憎い来たり去ったり気まぐれに

題詠都々逸 2010年

013:元気 元気出してとせがまれたとて出してしまえばその気なく 014:接 接して漏らさず実践できず出して接する不養生 015:ガール 我慢よりかはロマンが好きでガールよりかはロリが好き 016:館 泣いて笑って思いはひとつ二人寄り添う映画館

題詠都々逸 2010年

009:菜 たまにゃ野菜を食べたいけれどどこに良妻いるのやら 010:かけら すぐに溶けだすアイスのように恋のかけらで濡れた肌 011:青 青い魚が苦手なわたし青い男じゃ痒いだけ 012:穏 波も穏やか ひねもすのたり ナミも立たなきゃ濡れもせず

題詠都々逸 2010年

005:乗 乗って乗られて乗せられ濡れてシーツに残る泣いたあと 006:サイン サイン読めずに見逃すばかり振ったバットが空を切る 007:決 結婚しようと二人で決意 決っていたのに決別に 008:南北 南北貫く貴方の鉄で あつくなったり震えたり

題詠都々逸 2010年

001:春 春になったら二人で歌おう春にはやはり春の歌(春歌) 002:暇 寸暇惜しんであの娘にこの娘メールしている暇な夜 003:公園 一人ぽっちに寄り添う影が似合う公園二人より 004:疑 疑問だらけの二人の仲の答えなんかはいりはせぬ