窓打つ風雨

066:缶
薫風を味わいながら缶ビール
母が死に行く病室なのに

067:府
冥府から母の誘いが来るを待つ
午前三時の窓打つ風雨

068:煌
棺には風は届かず煌めきを
増すは花だけ母は死顔

069:銅
母偲ぶ涙が銅を腐蝕させ
あの風色が版画のように

070:本
母看取る僕の本音は涙ほど
哀しくなくてただ風穴が