風立つ朝に

046:貨
野辺の風母の遺骨に生命なく
貨物列車で運ぶみたいに

047:四国
四国さえ遠いからと行かぬ母
黄泉へ旅立つ風立つ朝に

048:負
風洗う焼野原立ち負けたのは
自分じゃないと母は生き抜く

049:尼
春風の尼僧のように微笑みて
息子を許す母の死顔

050:答
墓参りあの世はどうか母に問う
答え聴こえずヒュと北風