雨音を聴く

056:余
空蝉の余命を告げる雨はやみ
何も残さず静かな夜明け

057:県
君が住む県は明日も明後日も
雨が降るらし だからメールを

058:惨
逃げもせず振り向きもせぬ野良猫を
突き刺すように雨惨憺と

059:畑
まだ続く畑ちがいの話など
どうでもよくて雨音を聴く

060:懲
懲らしめの雨に濡れても燃え上がる
夢の続きを帰宅するまで