2012-01-01から1年間の記事一覧

題詠短歌 2012年

046:犀 泥水と犀戯れて何想う生きることとは犀のごとしか 047:ふるさと ふるさとを持たぬ男の望郷はまだ見ぬ死へのノスタルジアか 048:謎 いがみ合い傷つけ暮らす謎の縁なぜに惚れたか惚れられたのか 049:敷 無意識に敷いたレールの上を行く意識しているふり…

題詠都々逸 2012年

041:喫 今夜来ないとわかっていても お代わりしましょか喫茶店 042:稲 稲は実れば頭を垂れて 老いて男は項垂れて 043:輝 暗いお方の隣にいては 月も隠れて輝かぬ 044:ドライ ドライアイでは涙も出ぬに たまにゃ濡れましょ泣く愛で 045:罰 こんなあんたに心を…

題詠短歌 2012年

041:喫 来ぬ人と知りてなお待つ喫茶店コーヒー色に想いも染めて 042:稲 逃げる陽に実らぬ稲は立ち枯れてなぜにどうしてこうなったのか 043:輝 輝きの日々は流れて海底の闇に流され沈む言の葉 044:ドライ 初恋の瑞々しさは保てねどドライフルーツみたいに甘く…

題詠都々逸 2012年

036:右 右に行こうかそれとも左 まっすぐ行けない恋の道 037:牙 牙を涙で凍らせましょう 冴えぬ想いも冴え冴えと 038:的 的を外して焦らそうなんて そんな思いが的外れ 039:蹴 蹴ったボールを追いかけたまま 声を残して消えた子ら 040:勉強 勉強嫌いなあの子…

題詠短歌 2012年

036:右 ネオン咲く何処で消そうかこの想い右も左もわからぬままに 037:牙 虎落笛遠吠えさえもままならず凍てつく牙に我が身を捧ぐ 038:的 的を得た言葉ひとつに射抜かれて静かに割れた心哀れむ 039:蹴 校庭に声だけ残し消えた子よ蹴ったボールを追いかけたま…

題詠都々逸 2012年

031:大人 大人なんかになりたくないと 泣いたあの子もいま白髪 032:詰 詰まらないわね二人の夜は いつもそっぽを向いたまま 033:滝 滝に打たれて清めるよりも 心にしみる涙雨 034:聞 聞いておくれよたまには愚痴を 惚れて嫁いだわけじゃなし 035:むしろ むし…

題詠短歌 2012年

031:大人 眉毛さえ白髪混じりに成れの果て大人になれぬままに散りゆく 032:詰 夢の夢そっぽを向いたままの夜狭き寝床に詰め寄る吐息 033:滝 青緑心にしみる滝の音赤一輪に心奪われ 034:聞 聞く人もまた一人消え暗闇に愚痴念仏の祈りの儀式 035:むしろ 目指す…

題詠都々逸 2012年

026:シャワー ちょっと熱めのシャワーを浴びて 消える残り香胸の中 027:損 あたしばかりが損よねいつも 堪える喜び知ったけど 028:脂 恋という字も脂肪の中で 肥えという字に様変わり 029:座 座ってちょうだい目をそらさずに 浮気ぐらいは許すから 030:敗 敗…

題詠短歌 2012年

026:シャワー いつもより熱めのシャワー浴びてなお浮かぶ残像消せぬ残り香 027:損 喪失に耐える喜び知らされて損ずる時の砂を数える 028:脂 凍りつく脂の心もえもせず溶けて戻らぬ二度とあの日に 029:座 座してさえ目を合わさずに流れゆく時の重みに歪む窓辺…

題詠都々逸 2012年

021:示 いつかきそうな別れの予感 暗示するよな月の雲 022:突然 別れましょうか突然ですが 別れられなくなりそうで 023:必 いつかあんたも泣かせてみたい だって今夜は嬉し泣き 024:玩 玩具浮かべて遊んだ波と どこに消えたかあの命 025:触 他の女の臭いが染…

題詠短歌 2012年

021:示 月曇り心の闇も見え隠れいつかきそうな別れを暗示 022:突然 小夜ふけて別れられなくなりそうで突然ですが別れましょうか 023:必 偶然の嬉し涙は必然の吐息重ねた闇の露草 024:玩 巡る夏どこに消えたかあのいのち玩具浮かべて遊んだ波と 025:触 今はも…

題詠都々逸 2012年

016:力 力尽きたか消えゆく命 生きた証を消さぬまま 017:従 奪う力に従う気など ないが命はままならぬ 018:希 希釈できずに膨らむ希望 かなわぬ夢と知りながら 019:そっくり いつのまにやらそっくり同士 浮気心も二人して 020:劇 部屋は劇場寝床は舞台 演ず…

題詠短歌 2012年

016:力 力尽き消えゆくいのち今どこに生きた証を消さないままに 017:従 従えば失う命さからえば苦しむ命ままならぬまま 018:希 子に託すかなわぬ夢と知りながら希釈できずに膨らむ希望 019:そっくり 離れゆく心模様の不織布で浮気を隠す二人そっくり 020:劇 …

題詠都々逸 2012年

011:揃 あれやこれやと揃えてみても 何か足りない今日の酒 012:眉 眉の動きであなたの嘘が わかってしまう隙間風 013:逆 逆らうつもりはなかったけれど 素直になれない恋心 014:偉 外で見たときゃ偉そうに見えて 床の中では柔い人 015:図書 声をひそめて夢読…

題詠短歌 2012年

011:揃 不揃いの想い並べた皿と猪口あれやこれやと食い散らかして 012:眉 すきま風眉間凍らせひた隠す重ねた嘘を崩さぬように 013:逆 恋心素直になればなるほどに逆鱗に射る震える指で 014:偉 母子手帳未完のままの偉人伝わが子に託す想い残して 015:図書 声…

題詠都々逸 2012年

006:時代 そんな時代もあったじゃないか 粋な背中に爪の跡 007:驚 こんな涙に驚くなんて ほんにお主はウブな人 008:深 秋も深まり人肌恋し 酒もちょつぴり温めて 009:程 流す涙も程々ほどに 明日は心も晴れるよに 010:カード 望むカードはなかなか来ずに 婆…

題詠短歌 2012年

006:時代 掻く背中に浮かぶ想いの爪の跡そんな時代も確かにあった 007:驚 今もなお幼心の風に舞うこんな涙に驚くなんて 008:深 深々と沈むお酒を温めて人肌恋し秋の夕暮れ 009:程 枯らすまじ流す涙も程々に心の湿度明日へとつなぐ 010:カード 繰り返す望まぬ…

題詠短歌 2012年

01:今 ほかのひと想い浮かべて好きだよと今も好きかと問われ答える 002:隣 残り香を今も隣に偲ぶ夜の声も出せずに時は流れて 003:散 繰り返す季節巡れば散らす恋散る葉散る花実らぬ果実 004:果 老いてなお苦しむ恋の成れの果てさらに老いゆく切り捨てる爪 00…

題詠都々逸 2012年

001:今 今も好きかと問われりゃ好きと 答えて浮かぶ ほかのひと 002:隣 遠く離れてしまった人の 今も隣に残り香が 003:散 散る葉散る花散らした恋も 季節巡れば繰り返す 004:果 年をとったかとらされたのか 苦しい恋の成れの果て 005:点 膝に涙が点々点と 落…

夏は来るのか

(低音) 堅いお前もそろそろ中は西瓜のように熟すころ (中音) 膝を枕に団扇の香りずっとこのままいたいけど (高音) ドンと感じてすぐさま消えた花火のような夏の恋

ひいらぎ 折込都々逸

ひと目惚れだよ いい顔してる ラッシュにもまれ ギュッと抱く ひと目忍んで いつものホテル 落陽までの キスの味 ひもの暮らしで 今まできたが 来年こそは 義理はたす ひらりひと舞 鯔背なお方 乱暴だけど 義理がたい ひとり飲む酒 いつものように 楽になれ…

冷えたグラスが 雑詠 都々逸

枯れ葉(彼は)舞い散る師走の街に愛しい彼の影もなく 冷えたグラスがしっとり濡れて熱い唇 そっと寄せ 見れば見るほど奇妙な貝よ閉じりゃ広げて見たくなる どんな料理もお前のキスの味に比べりゃ勝てはせぬ 愛と恋とを比べて見れば心の位置に違いあり 愛の…

しらうめ 折込都々逸

幸せいっぱい ラブラブ気分 生まれた赤子の 目が笑う しらを切るなど らしくはないわ 嘘をついたら 目でわかる 沈む想いで 乱食いしても 浮かぬばかりか めかた増え してもいいけど 乱暴はよして 浮気のあとが 目立つから 白い心に 落書きしてよ 嘘でいいか…

はつふじ 折込都々逸

離れ離れに つれないそぶり 夫婦になれぬ じれったさ ハウス建てても 潰れてしまう 不安隠せぬ 地震国 初夢見たさに 冷たさこらえ 蒲団の中で じっと待つ 母の心を 妻の体が ふと忘れ去る 時間あり 張り合うなんて 強くはないわ 太っているから 自信なし 果…

短歌

難病に若さを棄てた身をさらし抱っこ抱っこと甘えてくる娘 僕よりは遥かに若い娘のからだ僕より先に消えるいのちか 痛いのはわかっていてもどうしてももっと不幸に泣かせたくなる

あわゆき 折込都々逸

愛してるのは わかっていても 勇気ないから 聞けぬまま 甘い言葉に わくわくしちゃう 夢かまことか 気もそぞろ 雨に濡れゆく 訳ある二人 湯島ラブホに 消えた夜 愛想つかした 訳ではないが ゆうべは嫌な キスの味 明日になれば 別れるけれど 雪降るうちは 切…

短歌

冬ならば人肌恋し花冷えは恋の心も咲かず閉ざして 寒き朝走り過ぎ去る童らは異常気象の春と知らずに 満月を告げる貴女が眩しくてもっと闇夜に隠れていたい 今ならば嫌いになれると月映る窓を閉ざして君がつぶやく

もっと都々逸を

和歌は雅よ俳句は味よ わけて俚謡は心意気 作:黒岩涙香 都々逸は歌詞から受ける印象によって「情歌」ともいう。 江戸末期から明治にかけて愛唱された歌で、七七七五の26文字でさえあれば、どのような節回しで歌ってもよかった。現今のものは初世都々逸坊扇…

ひじょう 折込都々逸

秘密ばれたか 冗談なのか 寄り添う女子の 恨み節 膝を枕に 情事の前は 酔うて小唄に 団扇かぜ

ぼうさい 折込都々逸

ボロは着てても 生まれは貴族 酒飲む背なに 威風あり 帽子かぶれど 後ろの禿が 寒いさぶいと いじけ虫 防寒コートで 嬉しや温い されど懐 いまも寒 ボクサーパンツは うちでははかぬ 妻子に見せぬ 粋すがた ボインブラジャー 美し女(ひと)も サイズ合うのは…