題詠短歌 2012年

026:シャワー
いつもより熱めのシャワー浴びてなお浮かぶ残像消せぬ残り香

027:損
喪失に耐える喜び知らされて損ずる時の砂を数える

028:脂
凍りつく脂の心もえもせず溶けて戻らぬ二度とあの日に

029:座
座してさえ目を合わさずに流れゆく時の重みに歪む窓辺で

030:敗
敗北の虚しさ包む波の音いまは優しく諭す月夜に