2019題詠短歌 僕のスタイル

2019題詠短歌  僕のスタイル

 


2019-021:スタイル

騒がしい未来が変えた気弱さが

静かに生きる僕のスタイル

 


2019-022:酷

残酷に眠れぬ夜に忘れたい

君をあれこれ夢見るように

 


2019-023:あんぱん

春の風僕はあんぱん食べながら

悪魔のふりで抱きしめた君

 


2019-024:猪

恋の事故猪突猛進禁止路は

過去と未来が曲がりくねって

 


2019-025:系

保存する汚れた恋の系列は

まずは冷たい水で洗って

 


2019題詠短歌  歳月の檻

 


2019-026:飢

言葉には出来ないままで飢えていた

好きだったのに揺らぐ虚しさ

 


2019-027:関係

関係は運命までも侵蝕し

僕が僕ではいられなくなる

 


2019-028:校

校庭の光溢れて走る君

暗い校舎で僕も微笑む

 


2019-029:歳

永久の愛のキセキを夢に追い

老いて独居は歳月の檻

 


2019-030:鉢

若き日の二人の宴つなぐ手と

小鉢ひとつの漬物だけで

 


2019題詠短歌  物言わぬまま

 


2019-031:しっかり

しっかりと歩けずよろけ枯葉踏む

私は私ボケてゆくとも

 


2019-032:襟

話すたび広がる嘘が襟足の

汚れとなりて落とせぬままに

 


2019-033:絞

雑巾を絞る力も衰えて

泣くも笑うもひとりひっそり

 


2019-034:唄

たっぶりとレモン絞って飲みほして

ひとりカラオケ昭和の唄を

 


2019-035:床

床の間に母が遺した人形は

夕日の中で物言わぬまま

 


2019題詠短歌  脱ぎ捨てたまま

 


2019-036:買い物 

買い物に出かける欲も消え失せて

破れたGパン脱ぎ捨てたまま

 


2019-037:概

今はもう概ね闇に包まれた

貴女も星も過去も見えない

 


2019-038:祖

祖先らが子らに託した魂も

星も未来も夢も薄れた

 


2019-039:すべて

泣きそうなすべての今は過去となり

闇夜の道を駆け抜けていく

 


2019-040:染

大袈裟な夕陽に背中を染められて

心鎮める雨は降らない