2014-01-31 白い溜息 短歌 #短歌 名を呼べど来そうで来ない人の犬 鎖はすでに切れているのに 抱きたいと思いつのらせ夢うつつ 目覚ましさえも吐息のように 君住むはここらあたりか氷雨濡れ 君を求めて震える心 逢いたいと想えど逢えぬ夜の雪 名をつぶやけば白い溜息 焼鳥の煙ばかりがかさを増し ひとりの席は取り残されて 飛び立てばいつでも逢えるはずなのに 気配ばかりで明けない夜明 星仰ぎ道ならぬ道さまよえば 東雲に咲く貴女の笑顔 ようように季節めぐりて水温む なのに貴女の心は解けず すぐそこに春の息吹を感じつつ なおも遠のく貴女の裸像 白鳥の留まる季節あとわずか 会えないままの三寒四温