白い溜息

名を呼べど来そうで来ない人の犬
鎖はすでに切れているのに

抱きたいと思いつのらせ夢うつつ
目覚ましさえも吐息のように

君住むはここらあたりか氷雨濡れ
君を求めて震える心

逢いたいと想えど逢えぬ夜の雪
名をつぶやけば白い溜息

焼鳥の煙ばかりがかさを増し
ひとりの席は取り残されて

飛び立てばいつでも逢えるはずなのに
気配ばかりで明けない夜明

星仰ぎ道ならぬ道さまよえば
東雲に咲く貴女の笑顔

ようように季節めぐりて水温む
なのに貴女の心は解けず

すぐそこに春の息吹を感じつつ
なおも遠のく貴女の裸像

白鳥の留まる季節あとわずか
会えないままの三寒四温