題詠短歌 2009年

題詠短歌 2009年

097:断 断腸の思いだなんて ざれ言よ男根切除させてください 098:電気 電気消し顔見えぬままエトランゼ愛の言葉も通じぬままに 099:戻 戻れずにさよならだよね 戻っても さよならだよね だからさよなら 100:好 好きなだけ好きだと言えば嘘になる 雨降らぬ街 …

題詠短歌 2009年

093:鼻 好きだった 鼻持ちならぬ君だけど気持ちは少し哀しみのまま 094:彼方 これからも遠い彼方に消えはせぬ消えはせぬけど交わらぬ仲 095:卓 卓越の才なきままに詠みあげる抑え切れない才なき故に 096:マイナス 別れずにこのまま過ごす寒い朝マイナスかし…

題詠短歌 2009年

089:テスト 夢にさえテスト地獄の白き紙血潮に染まりロ-ン地獄に 090:長 長々と話しただろう 幻影と幻聴だけの 輪廻黎明 091:冬 体温は何度でしょうか? 冬だから 熱い体と 熱燗ください 092:夕焼け 二日酔い 効かぬ薬を 飲むよりは夕焼け見れば また呑めま…

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085:クリスマス クリスマス贈れる物は何もなくキャロルの後で交わす口づけ 086:符 ハモっても輪唱みたい恋なんて微妙にずれる終止符の位置 087:気分 恋人が妻へ母へと移りゆき気分はすでにシングルマザ- 088:編 編み上げの靴高らかに履き鳴らし煙草を買った…

題詠短歌 2009年

081:早 早春は早くに気付き早秋は知らず知らずにアキが来るらし 082:源 川深し暗く流るる水源は恋で苦しむ女の涙 083:憂鬱 今日もまた憂鬱菌が飛来して可愛いあの子も顔を曇らす 084:河 泣きながら河原の石を数える子涙こらえて隣で星を

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077:屑 星屑も藻屑も知らず老いにけり屑籠入らぬ屑を眺むる 078:アンコール アンコール手を叩いても開かぬ幕違う相手と続きは夢で 079:恥 もし耳に心がついているならば聞くも恥ずかし見せたくもなし 080:午後 午前午後そんな区切りは今はなく明暗だけで時は…

題詠短歌 2009年

073:マスク マスクして物は言わねど輝ける瞳の奥に揺れる哀しみ 074:肩 肩たたきして褒められた幼子も五十路の不況肩をたたかれ 075:おまけ もうよそう怒りのおまけ貰うよりお釣りがほしい涙買うから 076:住 屋根ひとつ暮らす歳月流れゆき心に住むは別の女な…

題詠短歌 2009年

069:隅 隅々を知り尽くしても会う度に飽きず眺むる女体の不思議 070:CD 聴いてねと機械ないのにCDをくれたあの子の笑顔懐かし 071:痩 痩せたいといつもぼやいたあの人の痩せ細りたる病床見舞う 072:瀬戸 瀬戸内のオリ-ブの葉を描きつつ逝った画伯を偲び旅…

題詠短歌 2009年

065:選挙 暑き日の美人候補の選挙戦下着の中も菌が争う 066:角 縁ありて折角メアドを交わしたら早く知りたい君の全てを 067:フルート 落陽の枯れ葉一枚失恋のフル-トの音に舞いて旅立つ 068:秋刀魚 秋刀魚焼く気配が見えぬマンションに帰りたくなくだから焼…

題詠短歌 2009年

061:ピンク 目の前のピンク乳首のこの娘ピンク映画の意味を知らない 062:坂 上り坂駆け登りゆくレギンスに平和な頃の江戸の面影 063:ゆらり ゆらゆらり君を想うて飲む酒に月も体も行方知らずに 064:宮 酔うて夢龍宮城に来て見ても乙姫よりも君に会いたい

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057:縁 貴女から届くメールに心地よい匂いがしたよ縁ありそうな 058:魔法 老いた身も魔法にかかり恋に燃ゆ君の短歌を知ったあの時 059:済 済んだことそれはさておき済まされぬ恋の旅路は終りなきもの 060:引退 満たされぬ君の横顔眺めつつ引退するとベッド去…

題詠短歌 2009年

053:妊娠 妊娠と無縁になって輝きを増した五十路の女との恋 054:首 首切られ路頭に迷う日々なれど恨みはしまい静かに寝よう 055:式 さあ早く裸におなり僕式の恋に着飾る服はいらない 056:アドレス 携帯が壊れてしまった終りだね君のアドレスもうわからない

題詠短歌 2009年

049:ソムリエ あまたいる中から今日の月に合う君を選んだ僕はソムリエ 050:災 災いの渦中の人になりながら熱くなれずに氷の世界 051:言い訳 言い訳を考えているわけじゃない別れる理由見つからぬだけ 052:縄 荒縄の食い込む肌が朱に染まり哀しげな眼で揺れる…

題詠 2009年

045:幕 この幕はもう閉じようね観客は一人もいない二人の芝居 046:常識 常識を何時も忘れて恋をする終らぬ恋はないが常識 047:警 会う前に警告するよ僕たちが会えば必ず傷つくだけさ 048:逢 逢瀬ってなんかステキねでも何時も貴方が選ぶ安いお部屋で

題詠 2009年

041:越 しかたない越えてはならぬ一線を越えねば君を見失うだけ 042:クリック 送信をクリックしたら過ちに気付いたけれどもう終りだね 043:係 係争が長く続けば続くほど憎しみだけが夫婦の絆 044:わさび 赤提灯わさびたっぷりわざと付け涙目で見る君の笑顔を

題詠 2009年

037:藤 愛しても葛藤ばかりが渦を巻く愛されたってちらつく別れ 038:→ →(ベクトル)を貴女に向けてメール出す受信拒否されならば転送 039:広 果てしなく広がる海を限りある空が包みて一人佇む 040:すみれ すみれ色汚れた赤を拭い去れ澄んだ空より清き青たれ

題詠 2009年

033:冠 実るほど頭を垂れて謝罪する堕ちた冠拾う人なし 034:序 初日の出序章奏でる胸騒ぎ師走の今も何もなきまま 035:ロンドン ビニールの破れた傘が落ちているロンドンの紳士いないこの街 036:意図 意図なんてそんなつもりはないけれど別れ匂わす言葉が続く

題詠 2009年

029:くしゃくしゃ くしゃくしゃの顔してくしゃみする君のマスク外して一秒のキス 030:牛 牛飼いの童こころに憧れて老田牧童と我は名乗れり 031:てっぺん てっぺんで怯えるよりは底辺で大地を背中に空を眺むる 032:世界 それぞれの心の世界違うゆえ君の心の言…

題詠 2009年

025:氷 秋半ば氷あずきを君と食うこれで最後と今年も言えた 026:コンビニ コンビニのおでんの匂い流れ来て君と再び来る秋を知る 027:既 既婚者という名の差別するなかれ人妻の君我は愛する 028:透明 透明のグラスに入れて眺めても水は濁りて行く先見えず

題詠 2009年

021:くちばし くちばしのごとく突き刺す痛みあり偽り告げて奪う唇 022:職 天職は何かと問われ答うるに想い浮かぶは無職転職 023:シャツ エコのもと洗いざらしのヨレヨレのシャツを纏いて気持ちヨレヨレ 024:天ぷら 真夜中に突如天ぷら食いたくて揚げれど衣纏…

題詠 2009年

017:解 解脱など出来ないことと思うたがボケてしまえばこれも解脱か 018:格差 格差ある社会を憎めセレブらを貧しき者よ賛美するなかれ 019:ノート なんとなくノ-ト代わりの携帯にカミは死んだと午後に入力 020:貧 ダイエットやっと成功したものの鏡の中で笑…

題詠 2009年

013:カタカナ カタカナの多いメールを受信して返信すれば受信拒否され 014:煮 煮えたぎる怒り堪えて里芋と烏賊を煮染めて怒り鎮める 015:型 型破りそんな人生に憧れた鋳型の中の青春時代 016:Uターン Uターン出来る若さも今はなく行くも戻るも向かうあの世に

題詠 2009年

009:ふわふわ 万年の床で今宵も一人酒かつてはこれもふわふわ蒲団 010:街 この街で三十年間働いて何も残さず去る日も間近 011:嫉妬 嫉妬さえ楽しむ年になりにけり谷崎文学理解しはじむ 012:達 手も足も出せぬ達磨のビジネスで起き上がれずに出るは愚痴のみ

題詠 2009年

005:調 調べ事始めたものの時流れ調べることを忘れ書を閉じ 006:水玉 我が想い水玉なれば時経てもシャボン玉のようには消えぬ 007:ランチ 一口のグラスに注ぐランチビア秋の陽射しにすっと溶け込む 008:飾 飾りても隠せぬものよ老醜は脱げば益々醜いものよ

題詠 2009年

001:笑 笑点の司会円楽死ぬ間際笑えぬ顔で小咄ひとつ 002:一日 一日の時の流れは緩くなりされど老けゆく時の早さよ 003:助 助平と言われることも誉れなり枯れ行く我が身知られたくなし 004:ひだまり ひだまりに取り残された老いの身を子らは気付かず走り消え…