背徳の言葉

追憶にふければ老けるばかりなり
恋を追いたい童のように

カリヨンの音鳴り止みて聴こえくる
過去と未来に怯える鼓動

東京に積もらぬ雪が降る夜に
ふりもふられもせず募る恋

あの人の肩にとまりし淡雪も
名を呼ぶ声も儚く消えて

凍死した心を乗せた手のひらで
熱い涙に変わる淡雪

背徳の言葉沈めたカクテルを
静かに倒す君の横顔

薄めても薄めてもなお苦味増す
性と時間と愛のカクテル

素肌さえ襦袢のように本性を
包み隠して見えない貴女

明日には 忘れておくれ今日だけは
君にはさらす老醜無残

会うことを朝に怖れて夕闇に
別れ憂いて哀しみの帰路