題詠短歌 今年も静か

086:火
空っ風こころも乾き強き酒
飲み干し口説く火事場のように

087:妄
霜風が妄想までも凍てつかせ
ひとり芝居は愛から憎へ

088:聖
しみじみと甘さ噛み締めシュトーレン
聖夜の風は今年も静か

089:切符
かじかんだ手で切符買い会いたくて
筑波おろしの貴女の街へ

090:踏
陰風に踏み出せぬまま歩道橋
渡らず探す近くの酒場