題詠短歌 今は言えない

076:殿
寒風や離婚に進む妻からの
宛名が殿に変わったあの日

077:縛
木枯らしが呪縛のごとく言葉さえ
奪い好きだと今は言えない

078:邪魔
凍て風が邪魔して仲を切り裂いた
曝け出せない厚着のせいで

079:冒
吹雪く夜は感冒さえも肴とし
クシャミ鼻水お酒三合

080:ラジオ
風の音のように聴こえる歌声の
深夜ラジオを枕に眠る