夏の終りに

蝉落ちてもがき鳴き死ぬ風の道
牧童

秋の気配が少しずつ漂いはじめている。

酔った素肌に夜風が心地よかった。突然、光の中に蝉が落ちてきた。腹を上にし、もがき、暴れ狂い、あちこち体をぶつけながら、けたたましい鳴き声をあげ続けていた。

断末魔の叫びなのだろう。
逃げ出すように立ち去る僕の後ろから、蝉の声が追いかけてきた。

静かに眠るように死にたい。僕はそう思った。