無口な僕

「語り合う人・時減りて暮の春」牧童

誰とも会わず、一言も発しないまま一日が終わった。
やらなければならないこともなく、眠れもしない。やりたいことも何ひとつ想い浮かばず、食う気も飲む気も起こらない。一日がすごく長く感じる。
老後はこんな生活が増えていくのだろうか。
こんな生活をしていたら…

こんな生活になれてしまうのかな。
六十代の一人暮し、みんなどうしているのかな。

連休になると家族が恋しくなる。
自分で飛び出したくせに。

コンビニで買った粒餡の柏餅を一つ缶ビールで流し込む。今年も漉し餡、味噌餡の柏餅は食べずに終わりそうだ。