題詠短歌 髪をゆだねて

071:バッハ
並ぶ背を押す秋風と入る茶店
バッハ流れて動かぬカップ

072:旬
煙立ち八重の潮風旬を食む
昔の恋の苦味を舌に

073:拗
僻むには恵まれすぎて拗ねるには
若さ不足の秋の月風

074:副
副菜で夕餉済ませたほろ酔いは
風に満たされ月十三夜

075:ひたむき
ひたむきに好きだと言える今ふたり
初秋風に髪をゆだねて