題詠短歌 土に帰れず

061:虎
虎の威を借りても弱し秋風は
爽やかなれど隠せぬ涙

062:試合
運動会はためく風も静まりて
試合結果を待つ童らは

063:両
片手なら繋げたものの風ゆらり
両手で抱けずネオンも揺れて

064:漢
風という漢字の中にいる虫の
音が変わりゆく秋の夕暮れ

065:皺
老いた手で拾う枯葉はビル風に
隅に追われて土に帰れず