題詠短歌 紅葉渓谷

056:釣
釣り人は動かぬままにただ一人
風も色づく紅葉渓谷

057:おかえり
おかえりの笑顔懐かし行くあてを
探しあぐねて悲風のベンチ

058:核
核心をつく人を避けシェルターの
無風の闇で傷を癒して

059:埃
一枚の枯葉と埃はき出せば
風に乗れないままに消え失せ

060:レース
レースごし色づく柿を眺めおる
風も寒さを少し増したか