また風に消え

006:婦
老いてなお風の水面の夫婦鳥
水中の苦労子は知らぬまま

007:度
窓の風温度ばかりを高めゆく
母の生命は冷えゆくままに

008:ジャム
このジャムは母の手作りあと少し
思い出ひとつまた風に消え

009:異
いつもとは異なる朝の風さわぐ
母亡き庭の草木は枯れて

010:玉
息吐けば風に舞うよにシャボン玉
母の面影浮かんで消えて